人の幸せをねたむ癖が直らない 五輪の金メダリストの親が憎らしい WBCで優勝した選手の妻たちが憎い

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1 トウゴクシソバタツナミ(catv?)

人の幸せ すぐねたむ

 50歳代主婦。人の幸せをねたむ癖が直りません。20歳代の頃、親友が玉の輿(こし)に乗ったのをねたみ、絶縁状を送りつけたこともありました。
 幸せな人はすべてねたみます。五輪の金メダリストの親が憎らしい。野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝した選手の妻たちが憎らしい。
日本選手が金メダルを取るとイライラし、喜んでいる人たちを見て、なんて純粋なんだろうと思います。
宝くじの高額当選者のことを考えるだけで憎らしい。売れっ子の芸能人の親や、東大合格者の親も憎らしい。
 私には3人の成人した子どもたちがいますが、みなまだ独身なので、他人に孫の自慢話をされるのが苦痛です。
年賀状に赤ちゃんの写真が印刷されていると破いて捨てます。こんなにねたんでばかりいたら、地獄に行くのではないでしょうか。(岩手・E子)


人の幸せをねたむなんて品位に欠ける。これではいけない。そんなあなたの悲痛な思いがにじみ出たお便りですが、
これを読んで「わかる!」とひそかに声を上げる方も多いのでは? つまり、すごく人間的な心理であって、
まあこれで地獄に落ちるほど閻魔(えんま)大王も厳しくはないと思いますよ。自分が苦しみはしても、他人にそれほど迷惑かけてないみたいですし。
そもそもねたみとは、誰しも深層に持つ「自分はダメだ」という劣等意識が、他人の成功で刺激された結果です。
だからこの意識の克服が根本対策に違いありませんが、これはわかっていても簡単じゃない。

 むしろ、自分を楽にするような考えを、どんどん出してみることの方が効果的だと思います。
例えば、「他人が大成功したって自分には何の実害もないことを確認し『良かった』とホッとする」
「『勝手に幸せになったら? 私は私のやり方で行きます』と居直る」「『いつも金メダルばっかりは取れないでしょう。大変ね』と同情する」などです。
自分で安心できる考えが出たら、後は忘れてご自身の現実生活を大事にするようにしてはどうでしょう。

 (野村 総一郎・精神科医)
(2009年7月1日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/shinshin/20090701-OYT8T00202.htm?from=navr&from=yoltop