革命防衛隊 分裂か デモ鎮圧反対の幹部拘束の情報 イラン
イラン大統領選をめぐる混乱で、政府の精鋭部隊・革命防衛隊の内部にも対立があるとの見方が広がっている。
最高指導者ハメネイ師直属の部隊だが、デモ鎮圧に反対した幹部が拘束されたとの情報もあり、部隊幹部の
動向は混乱の行く末を占うカギになりそうだ。
「テヘラン地区担当のファゼリ司令官が拘束された」との情報が二十二日、改革派のムサビ元首相支持者らの
ウェブサイトに流れた。これを受けるかのように同日、革命防衛隊は「暴徒には断固として対処する」との声明を発表。
「防衛隊は一枚岩とアピールするためだ」。欧州を拠点とするイラン専門家のノリザダ氏は本紙にこう指摘した上、
「ファゼリ司令官の逮捕は事実であり、鎮圧に反対した幹部の拘束が進められている」と話す。中東の衛星テレビ局
アルジャジーラも「防衛隊分裂」の可能性を伝えた。
アハマディネジャド大統領は同部隊出身で、選挙では部隊が支持基盤の一つだった。一方で、ムサビ元首相を支える
ラフサンジャニ元大統領も部隊創設者の一人。ラフサンジャニ師の推薦を得て入隊し、幹部に登用された人材も少なくない。
在テヘランの西側外交筋も「防衛隊はアハマディネジャド氏支持一色ではない」と語る。
革命防衛隊は現在までデモ隊に向けて実弾を使用せず、抑制的とされる。デモ参加中に撃たれて死亡した「ネダ」という
名の若い女性が改革派の象徴的存在になっているが、この銃撃も革命防衛隊が起こしたのではなく、民兵組織バシジの
急進的な民兵が実弾を使ったとみられている。
<革命防衛隊> 陸海空軍とは別の精鋭部隊。地上部隊10万人、海上部隊2万人。在外公館にも隊員がおり、スパイ活動を行っているとみられている。
レバノン南部のイスラム教シーア派組織ヒズボラなどを支援し、西側諸国は「テロ輸出の元凶」と指摘する。石油、建設などの関連企業も多い。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009062502000104.html