http://www.sanspo.com/baseball/news/090618/bsa0906180506004-n2.htm 一振りがすべてを変えた。1点を追う六回無死。小笠原が、涌井の低めに沈むスライダーをすくい上げた。白球はグングン伸びて左中間スタンドへ突き刺さった。
「うまく打てた。シンプルにきた球だけを打つことを考えていた。日本シリーズのこととかは気にせず打席に入った。とにかくチームが勝ててよかった」
悠々とダイヤモンドを一周した主砲は表情を崩さず、うれしい気持ちも胸の中にしまった。
昨年11月9日。3勝4敗で、あと一歩まで迫った日本一を逃がした。「これが現実。もう一度、ゼロからスタートする」と
誓った日から220日。七回には古城が今季1号ソロを放って、逆転。宿敵の西武に2勝1敗1分けと勝ち越した。
小笠原の今季15号は、東京ドーム通算145本目の本塁打。歴代1位の松井(ヤンキース)にあと1本と迫った一発は、憧れの人に捧げる一打だった。
少年時代のヒーローは華麗にマットを舞う「タイガーマスク」。今月13日、2代目タイガーマスクの三沢光晴さん
(享年46)の訃報を知り「びっくりした。タイガーマスクは本当によく見ていたから…」と絶句した。18日は、その三沢さんの47回目の誕生日。球場横にある
“プロレスの聖地”後楽園ホールから、三沢さんが見てくれていると感じていた。
交流戦では5月23日の岩隈(楽天)、今月6日のダルビッシュ(日本ハム)、そして涌井とサムライジャパンの好投手たち
を次々と撃破。原監督も「すばらしい投手たちだった。今シーズンはもう大きな大会(日本シリーズ)以外では対戦することは
ないけれど、それぞれがいい投手だった」と、しばし激闘の余韻に浸った。
交流戦も11勝8敗3分けで勝ち越しが決定。あとは後ろを振り返らず、リーグ3連覇に突き進むだけだ。(桜木理)