【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態★2
1 :
チドリソウ(兵庫県):
物凄い勢いで前スレ埋まってたぞ
3 :
レウイシア(東京都):2009/06/13(土) 00:35:09.65 ID:/mC3zeRZ
この種の困った人は昔からいたってば。
いわゆる日射病だった。
「はいはいマリアちゃん、ケダモノからは離れましょうねー」
花梨、この期におよんでも、まだ自分のミスに気づいていないらしい。
しかも和泉ちゃんは、しごく真面目な声で返事をしてくれた。
「知らないけど、いいじゃない。態度が悪くても卒業はできるんだからさ」
あの日の彼女とは、違う感触。
「ほめてるんだからいいじゃない」
「うん、楽しみにしてる」
「その牧野が…いちど目覚めたってよ」
なんにせよ、最後の『また』という言葉を聞いて、僕は内心、ほっとしていた。
夢が、夢じゃなくなってしまった。
祭りの後、家に戻ると誰もいなかった。
「そうだな。…お、そろそろお姫さまの登場みたいだぜ。場所取り場所取り」
あれが不可抗力?――そんな馬鹿な。
「ぁ…ぁ…ぁぁぁ…」
(けっきょく、わかったようなわからない ような…)
「茶化すんじゃないのー」
「なんで…」
無意識にうなずき、気がつけば笑っている。
偶然、奇跡?
「でも、あなたは違う。ママの死を否定するために死を肯定した」
「あ、あの、だから…想像とかしちゃ…」
26 :
チドリソウ(東京都):2009/06/13(土) 00:35:10.95 ID:32cNxekE
この速さなら言えるww
今日私の誕生日wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
誰も祝ってくれなくて私涙目wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ニュー速民のみんなwww祝ってくれwwwwwwwwwwwwwwwwww
寂しすぐる ウッ(´;ω;`三´;ω;`)ウッ
「私もマリアが言い出すまでと思って、我慢してたんだけど…」
「でも、マリアちゃん、それじゃあ、自分のことは?」
世界に再生された瞬間、あるべきものすべてを見失っていた、うつろな今の僕と。
30 :
ガザニア(東京都):2009/06/13(土) 00:35:10.82 ID:KqcTjTNV BE:2440303698-PLT(12000)
意味がわからん
自然には自然の美しさがあるだろう。
「あっ、えっ、ええと…雪、ひょっとしてからかわれていました?」
「本人が気にしてないんだから、いいじゃない」
「暑いですね」
月っていう、確かに存在する、だけど手の届かない場所。
「僕は、和泉ちゃんの家の事情を、ぜんぶ知ってるわけじゃないけど、それだけは違うと思う」
「ボクも勉強するー」
「信用してるよ。…少なくとも、この前の告白は」
僕の背中に寄り添っていたぬくもりが、そっと離れる。
「あるよ。…そう言えば、水着のこと気にしてたよね」
誰もいなければ、すぐに帰ってくればいいだけのことだ。
「だんな、ひゃまぁ…いけっ…いけまっ…せんわ」
“ぱたぱたぱた…”
露わになった、細い足を撫でながら、僕は指先でつつくようにして、ショーツの上をいじった。
「…駄目だよ、和泉ちゃん」
『旦那、さま――』
「なんで嘘つくのー、アリスちゃん」
「確認と、報告だけしておこうと思って」
「抑えられたら、苦労しないよ」
僕は、首を持ち上げ、それに応えた。
「いちおう、お祭りですからね」
「庄一で頼む。おまえには違和感があるかもしれないが、なに、すぐ慣れるさ」
「三人が最初に知り合ったのも、そこ。私たちが中学に入るのと同時に、なくなっちゃったけど」
彼女の家を訪ねるのってちょっと怖いけど、まあ仕方がない。
恋人なのか?――だけど、わざわざみんながいる場所でするなんて、まるで…
僕には、答えられない。
どうせなら一人の写真も欲しい――料理してるところとか、無理に撮ったら怒るかな…?
彼女は、眠っていた。
「やっぱり、じかに触ると違うね」
「い…ずみ、このままするよ?」
「だって、朝じゃないとキミの面倒見られないんだもん」
ぎしぎしとしなる弓に、もう、僕の手は震えたりしなかった。
「花梨ちゃん、どうしたの?」
マヨイガ、神隠し――僕が望んでいたのは、きっとこの空間なんだ。
自分の体を抱きしめるようにしながら、布団の中にもぐりこむ。
「透矢さん…今ね、とても…気持ちいいんですの」
「じゃあ…牧野さんのことを…」
そして、どうかしている僕は、そこに口をつけた。
「気にしてないよ。それじゃあ、僕も約束があるから、そろそろ行くね」
彼女なら、何か…
「妹を頼んだぞ…っと。じゃ、そんな感じで決まりな」
「そんなに痛いの?」
「そうだね。あ、それで、明日のことなんだけど…」
何も見えない、こんな不確かな世界は、もうたくさんだ。
雑音混じりの、だけど、とても綺麗な歌声。
瞬殺ワロタw
「庄一、真面目に見てやってよね」
しかめっつらで思いきりベロをつき出すと、首を引っ込めてしまった。
「真似するなー」
「無理だよ。和泉ちゃんがいるし…」
「なんで…って…」
小さな小川だった。
「…前に、ちょっと」
和泉ちゃんは、スカートのすそをきゅっと握りしめると、言葉の半ばでうつむいてしまった。
少し出したくらいで、どうにかなるものじゃなかった。
お互いを想って、お互いの言い分がすれ違うんだから素直じゃない。
と、何か、固い物が転がるような音がした。
風になびく髪を気にしながら、僕のほうに首を傾ける牧野さん。
まだだ…まだ、いた。
さっき見ていた夢だろうか。
和泉ちゃんの家に向かう途中、雪さんは何度も何度も、その言葉をくり返していたから。
「ちょっと。良く似ているけど、もしかして、双子だったりする?」
「むむむむ…」
「…妹がわがままだと苦労するわよね」
「私たちって、僕も?」
彼女は、きっとあそこにいる。
「良くしてくれているようだし、嫌いということはないね?」
何か怒ってるような…
「花梨の巫女さん姿か。見てみたいね」
花梨の言うことは、たぶん間違っていない。
反論できない。
あの夢は、たぶん現実にあったこと。
「どっちでもいいよ。僕以外の人間にわからなければ」
夢をつなぐことができたなら、そのときは消えてなくなると思うんだ。
和泉ちゃんが取り出したのは、父さんが書いたという、那波町の伝承について著した本だった。
「あー、たこ焼きね」
彼女は、アリスが行おうとしていた洗礼をすでに受けていたんだ。
「そうだね…。時間なんか、止まっちゃえばいいのに」
「慣れたって、何度もやったの?」
「花梨ちゃんと、和泉ちゃんには内緒ね。怒られちゃう」
全身が固くなり、ぶるっと震えた。
「庄一も、開発には反対なの?」
もっとみんなのことを知りたい、と。
ふっと耳に息をふきかけて、花梨はまたぺろぺろと、僕の唇を舐めた。
「あー、悪い悪い」
「うん。それで、雪ちゃんとボクがママ。透矢ちゃんがパパ」
僕は、和泉ちゃんの肩を押し、そっと体を離した。
僕に言葉をはさませず、雪さんは妙なことを言い始めた。
「ママ…嫌だよ…」
「いつも、あと何点かじゃありませんか」
「そう…じゃあ、頑張って」
砂がなくなったところで、ハンカチを当てて、その上から包帯を巻いた。
「和泉の気持ち、知ってたのに。告白したのも知ってたのに」
「充分だよ、ありがとう、花梨」
また、ちゅっ。
照れているのか、彼女の小さい体では、それが精一杯だったのか。
「透矢、顔色悪いけど、大丈夫?」
「海の中のこと、海を越えた向こう側のこと、時を越えたはるか昔のこと」
「あくまで保険なんだからね、保険」
「ねー、はずかしいよぉ」
くたびれた様子を見せるでも、不満を漏らすでもなく、雪さんがおっとりと言う。
それでも、夢といえば僕も心当たりのあるところなので続けてもらうことにした。
『せい!』
「ごめんなさい。私のせいで、危ない目にあわせちゃって」
「だって…私には…その力が…」
「ば、場所までは知らなかったんだよ」
どうしてそんなに優しいの?
「まあ…」
当たり前だけど…事故の直後は疲れていて、本当に何か不思議な事が起こっているような気がしていた。
「アリス、いい?」
「私たち、冷たいのかなぁ」
「寝苦しそうだったので、勝手にさせていただきました。寝心地は、あまり良くなかったようですけど」
「うん。大事を取って病院のほうに入るみたい」
少しずつ少しずつ、腰の動きを大きくしていく。
あれはつまり、一年に一度きりの、ふたりの再会の時をあらわしているのだ。
「僕が断る理由は、何もないんだけど」
「う…うれしいですけど、そういう時は、できるだけ、お風呂かどこかで…」
「ふぁぁ…」
戸惑っていると、車の中から、もうひとりの人物が姿を現した。
とにかく普通じゃない、異常だ。
「めくってしまって、けっこうですよ」
とりあえず、ここにいちゃいけないな、と思い、外に出た。
どくん、心臓が跳ねる。
振り返った女の子の顔は、マリアちゃんに良く似ている、というより、ほとんどそのものだった。
「今日は良く笑ってくれるね」
『い、いいってば。動物が相手じゃ仕方ないよ。また次の機会に見せてよ。楽しみにしてるから』
“パンパン”
「でも、僕が好きなのは花梨だ」
「そういう事があるから、おねえちゃんも心配するんですよね」
「あれ? こっちって事は、わざわざ、僕を呼ぶために来てくれたんだ」
弓を引く手にも力がこもる。
「ええ。ええ…本当に…」
オッケーということだと解釈し、続けさせてもらうことにした。
「…アホくさ。もう、なんでもいいから行こうよ」
「明日…透矢さん、明日も、ご一緒していただけますか?」
花梨は、ぶんぶんと手を振りながら病室を出ていった。
「なんですの?」
「あそこ」
ふっと耳に息をふきかけて、花梨はまたぺろぺろと、僕の唇を舐めた。
「あ、ああ…いいよ」
どこ、だ?
額から伝わる熱も、少し、上がったような気がする。
「まーたやってんのか。ホントにその気があるんじゃねーだろうな」
「今は、変わった?」
「だけど、仕方ないじゃないか。どうしても怖いんだ。僕にはもう、弓なんか引けない」
今、そのすべてが、温かい。
前スレどうやったのあれ
久々に戦慄したわ
「透矢さん? 少々お待ち下さい」
神聖な場所と、そうでない場所の境界線を示すもので、一種の結界のようなものらしい。
和泉ちゃんは図書『室』なんて、ひとことも言っていない。
「ぅ…いや、あの」
それにしても、父さんの論法は、ずいぶん押しつけがましいというか…
「また、からかおうとして…図書館は逃げないよ。体調が大丈夫そうなら、本当に明日つき合うからさ」
「一分は六十秒?」
怖い。
「ならない」
「透矢さっ…だ、めぇ…」
どこかに行きたいらしい。
「良かったね、雪の調子良くなって」
「ちょっ、やめてよ変態!」
「透矢ー、スイッチ入れてー」
「マリア…お姉ちゃんは…」
毎日のように練習していた、あの構え。
「しゃべり方でなんとなく。それに、今日は七夕ですしね」
「体調が良くなり次第、参加するって」
「恋人とかじゃなかったけど…うん、こんな感じ。あ、まあ、こんなふうに教えたりはしなかったけど」
「勘弁してよ…」
「透矢さん…雪の、止まりません…」
「キミ、誰が尻にしいてるって?」
「人が悪いなぁ、和泉ちゃんも」
「無理しないでよね。じゃあ、他の所に行く?」
「お疲れさまでした。今、おいしいお茶をいれますからね」
「あれ、雪、いないんだね」
だから、さようなら。
今さらながらに、二人きりっていうのが意識された。
「さあ、参りましょう」
何度目だろう、僕は息をのんだ。
見ているだけで、おだやかな、優しい気持ちになってしまう。
「新城和泉さん? えっと、今度はどう呼んだらいいのかな」
「どうだか。で、真面目な話、あれから大丈夫だった?」
ほどなくして、道が完全に途切れた。
「庄一は大丈夫なの? 自分だって、花梨と同じ立場でしょう?」
「好きだよ。だから、ずっと僕の側にいてほしい」
「幸せそう。僕が?」
「えっ、どうして和泉さんが謝っちゃうんですか?」
「あむ…ん…っ…」
雪さんの震えが、大きくなった。
「そうなんですよ。もう少し静かに鳴いていただけると、うれしいんですけど」
雪さんが、僕を呼んでいる。
「いつも、あと何点かじゃありませんか」
「ん、ときどき、瀬能くんが助けてくれるからね」
手を離し、花梨が駆けだした。
「才能と偶然。あなたはどうして幽霊がいないと思うの?」
ぞくり。
「お父様と呼ばないでくれ…あなたは」
和泉ちゃんは、僕らから目を逸らし、何も言おうとしなかった。
「お尻…?」
「約束…やぶってしまわれたんですね」
彼女は、僕の体を知りすぎている。
牧野那波さん――彼女は、なんなんだ?
「じゃあ…僕と結婚しよう、雪さん。一生僕のものになって」
「なんか心配で。よけいなお世話だったみたいだね」
「今日はありがとう。おかげでマリアに暴れられなくて済んだわ」
「大事な約束だからじゃない?」
「でも、言い過ぎじゃないかな? アリスのことだから、考えなしってことはないだろうけど…」
まぶたが落ちる。
「まあ、さっきから、我慢してるし」
「あらあら。どうされたんです?」
「うん。つまらないことで心配かけちゃったみたいで、ごめん」
「ったた! そんなにしなくても、送るから大丈夫だよ」
「那波…どうしたの?」
「抜け出して来ちゃったわけだね」
「そんな暗い顔しないでよ。一生の別れってわけじゃないんだしさ」
「気持ち良かった?」
「…そうかも」
自分の裸の写真を見て、可愛いなんて思うもんか。
「え? あ、ぁぁ…そうかな」
見えないはずの目をまぶしげに細め、彼女は正確にみんなのいる方向をとらえながら言った。
「じゃあさ、きっと、その先までやってるよね」
「あのー、マリアちゃん、あんまり跳ねないほうが…」
「…ありがとうございます。ですけど、透矢さんは…わたくしと一緒に来ることができませんわ、きっと」
「透矢、牧野がそうだって言ったらそうなんだよ」
「あっ、そうだそうだ…」
「少なくとも、僕はここでナナミが倒れていたのを覚えている」
だから、今まで、滅多なことでは泣かなかった。
もう少しだけ、進んでみよう。
偶然なのか、彼女の視線の先には雪さんの背中があった。
「楽しいはずのデートで、そんなに疲れてどうするのさ。足は?」
「…ほにうるいなんだよ?」
「思い知った。次からは気をつける」
少しずつ、彼女のそこは湿り気を帯びていく。
顔を伏せて集中している――わけじゃなかった。
窓際にたたずむ彼女。
「ただいまー?」
それはつまり、最終的には僕に受け止めろってことか。
あの日、彼女は確かに存在していた。
「でも、悪いよ。それに疲れたでしょう?代わろうか?」
なにしろ無理をする人だし、ひょっとしたら、ものすごく苦しんでいたりしないだろうか?
洗い物の手を止め、外に出たけど、誰もいない。
にっこり、顔を見合わせて、お互いの口をふさいだ。
「あ…うん…」
「その研究課題っていうのは何?」
「はい、宮代ですけど」
「ああ、体調が悪いんだってさ」
彼女にとってもまた、これは好機だったと言えるだろう。
いつもの笑顔を見せて、雪さんは、アルバムのページをめくった。
「じゃあ、私も練習してるから。何かあったら声かけて」
「だ、だよね。アリスってキツイんだけど何か言われても、あまり嫌な気持ちにならないし」
「だいたい、牧野さんって、まだ戻ってないはずだよね、和泉」
「僕だって本番前だよ。花梨は?」
「悪かったね。こんな時間までつき合わせてしまって」
「前向きでいいね…」
だって僕のは…調子が悪いとか、そういう次元のものじゃないから。
そして、ついには、この町を離れることになってしまった…。
「勘弁してよ…」
「ちょっとね。これのおかげで、ここまで来られたんだよ」
「大和神社って、それじゃあ」
なんだろう、あれ。
「…っ…はい」
視界が一点し、目の前にはさびれた村の光景が広がっていた。
僕は覚えている限りの事を伝えることにした。
いたずら電話だと思って、受話器を置こうとすると、
「うん…今日は…ありがと」
やりきれなさのようなものを感じ、僕は彼女を抱き寄せていた。
「あ、あそこあそこ」
「…すごく感じてる」
「ジロジロ見ないでよぉぉぉ」
僕は、彼女の目のことも、夢のことも、七夕の夜のことも、ぜんぶ忘れている自分に気がつき動揺した。
「…そうですね。でしたら、雪は食堂でお待ちしていますから」
「ね、透矢さん、行きましょうよー」
「なんにも言ってくれなくていいよ。優しくされると、辛いもの」
「那波は…幸せで…」
「でも初対面なんでしょう?」
「ふーん。でさ、けっきょく、あの夢は何だったわけ?」
「ナナミが、助けてくれたんでしょう?」
「みんな来たー。何して遊…ぶふっ!」
307 :
ノミノフスマ(九州):2009/06/13(土) 00:35:19.28 ID:mCOjgfuI
スレ埋め立てスクリプト↓
和泉ちゃんが、きのうと同じ顔をした。
「冷たいものはゆっくり食べなさいって、いつも言って…」
下半身を温かいものが伝い、流れ落ちていく。
「うん、すぐ行く」
「マリアから、なんか聞いた?」
「和泉ちゃんは、おまえと違ってか弱い女の子だから、車が来るまでが危ないの」
「その夢を見るたび、とても悲しい気持ちになりますの。それで、いてもたってもいられなくて…」
もっとも、彼女のそれは、暗くなりがちな雰囲気に気を配った結果だったのかもしれない。
「少しは、元気になってくれたかな」
嘘のようにおだやかな顔をして…彼は、本当に、眠りについてしまった。
「ああ、ごめん。誓いの口づけを」
「んー…どう?」
『雨――』
初めて見た小さいポットには、直接、お茶がいれてあって、こっちも文句なし。
花梨が指さすほうを見ると、道の小脇にぼんやりと、小さな人影のようなものが見えた。
彼女が座ったのを見て、スイッチをいれる。
牧野さんと別れ、弓場を訪ねると、
「はりゃ、違った?」
これが夢じゃなくて、雪さんが夢だったなら、どうしてずっと寝かせておいてくれないんだ。
「本?」
庄一の言う通りだった。
「というわけで、錯覚か人違いか。キミ、本当に体は大丈夫?」
「この温もりだけが…ナナミの確かなものですわ」
「じゃあ、気分転換につき合って」
「あり得ないよ」
女の子は祈っているというわけでもないみたいで、ただ、正面にある像らしきものを見上げていた。
「…小さいって思ったでしょう?」
「ぅー」
「危ないからじゃないですか?」
「ば、馬鹿…」
「でも、駄目だね。いちばん別れたくない人になんか会ったら、駄目」
ともあれ、絵に描いたようなハイキング日よりになった。
今日に限って庄一もいないし、心細い。
どうして彼女がメイドなんてやっているのか、きっかけは、もう覚えていない。
「手伝うだなんて、やめてください。それからもうひとつ、お友達のみなさんが、お見舞いに」
「そういえば、作者の苗字、あなたと一緒ね。もしかして親戚筋とか?」
「言っとくけど、日本史はばっちりだよ」
「あの、僕と雪さんはずっと前から一緒に暮らしていたってこと?」
「雪、今日は撫でていませんけど…」
受話器を置いて、電話を受ける前より、落ちついた気持ちになっている自分に気づかされた。
「僕も、手伝うよ」
「手だよ。起きてから、ずっと手をさすってるじゃない。夢を見たって言う時はいつもそう」
「朝の分も昼の分も、ちゃんと作って来ました」
「和泉の手紙に、ごめんなさいって、あったのね」
「本当にそれがいいの?」
「…あのー、でもさ、アリスがいない間にひとりであそこに行く可能性は?」
だけど、道場の練習とは違う。
その後、すべての家を見て回ったけど、どこも同じような惨状だった。
「当たり前ですよぅ。おねえちゃんとは、ずっと一緒なんですから。いつも私のこと守ってくれますし…」
「ありがとう。でも、まだ大丈夫だから。それより、暗くなる前に、この辺りを見て回らないと」
「しかし、根本的な解決にはならねーし、なんていうか…大変だな、おまえも」
「それ、気持ちいいってことだよね。だったらいいじゃないか」
「本気だよ」
今さらそんな事を悔やんでも仕方ないけれど…
完全に固まってしまった。
花梨は、確かに前から可愛かったけど、なんていうか、こういうんじゃなくて…
「わかってるよ、わかってるけど」
「残念ながら、まだまだですわ」
汗を拭うフリをし、涙を拭ってから、僕は振り向いた。
「他に誰の心配をして、こんなところに来るのさ。それより、病院を抜け出してまで、どうしたの?」
事を終えて、なぜだか泣き出しそうになる僕を、花梨はきつく抱き寄せてくれた。
「宮代、いちおう部活なわけだしな…」
「透矢くんの、元気…」
「う…。と、とにかく、朝から騒がせてごめんね。そろそろ帰るよ」
同じ疑問を、花梨は率直にぶつけた。
真剣に起こすべきか悩み始めたところで次の指名がかかった。
「うん、すぐ行く」
「ぅぁぁ…っく…ぅ…」
「あっ…うああああああ!」
「あんまり、寝られなかったかな」
「ちっ…が…違うんです…雪のは…」
当たり前だろう――彼女にはもう、これしかなかったんだ。
彼女のノドの粘膜に、ぴったりと張りついた先端から、ひっきりなしに、熱い塊が吐き出される。
「……良かった、花梨ちゃんの舞が成功して」
「こんなところで、何、やってるの?」
「別に…」
「なんなのって言われても」
地の利でも、戦力でもなく、神が味方したとしか、言いようがない。
父には本当に気をつけてください。
しーっと小さな僕を黙らせると、すっと目を閉じさせる。
「あー…嘘ついてるって顔だよ、この人」
「僕は、いったい…」
「大丈夫。僕は、いいんだ」
この人はこういう人だった――朝から、こんな話、するもんじゃない。
「ふふ、冷たいですわ、透矢さん」
事故に遭ってからというもの、眠る前に暗闇の中で、翌日のことを考えるのが僕の日課になっていた。
それは、ささやかで、素敵な奇跡。
僕も、あんな感じだったんだろうか。
「わかってるけど」
「透矢おにーちゃーん」
「どう考えるかって問題だろ。予備知識がなければ、不思議な薬としか映らないかもしれない」
「どの辺が良かったかを、三十文字以内で述べなさい」
なんだか、放っておくと、延々お説教されそうな気配だ。
「遊んだ遊んだ。たまにはこういうのもいいよね」
「いいんです。目覚められた時から、ずいぶんと気にしていましたし…」
「っ…っ…っぅぅ…」
「やっ…はぁ…」
彼女の中にすべてを埋めるということはそれくらい気持ちがいい。
半泣きの、砂にまみれた顔があわれで、なんとなく頭を撫でた。
「あ…えっとぉ…怒った?」
マリアちゃんは真っ赤になって目を逸らしてしまった。
どんぴしゃり、だ。
「そういうこと。理解した?」
保険ってなんのことだろう?
「調べたいことがあるの。そうだ、あなたの通ってるところよね、大きい図書館があるのって?」
花梨はまた、僕のものを口にふくんで、さっきよりはげしく顔を上下させた。
『透矢くんも、何かお願いしよう』
「父さん、話って…」
「花梨、まさか…駄目だったのか?」
417 :
チドリソウ(兵庫県):2009/06/13(土) 00:35:20.84 ID:D1BCAwy6
またきたか
音恵み糞だな
「…だって、マリア」
「僕、花梨のこと、好き…みたいだ」
タイムリーすぎて、思わず吹き出してしまった。
「そんなことありません…ありませんからね?」
タイミングがいいんだか悪いんだか、雪さんが笑顔でやってきた。
…そんな授業に限って当てられるし。
「…ん、そんなこと、初めて言われた」
薄い布をへだてた向こう側から、温かいものがにじみ出し、唇を濡らす。
「ああ…瀬能雪ちゃん」
「そしたら、また…ね」
「思い出したっていうのとは、少し違うんだけど」
大丈夫だ。
「ええと…でも、それじゃあ?」
「そんなことないよ。和泉ちゃんのこと…好きだし」
まさか反応するとは…。
「ああ、調子どう?」
「同じものを、見たのかな?」
「お出かけになると言っていましたけど、教会に用事があったんですか?」
夢で彼女を射抜いた、だからなんだって言うんだろう?
「よろしかったんですの?」
「山って、いいものですね」
「ごめんなさい、本当なんです」
あそこで止めておけば、こんなことにはならなかった。
「今、森の奥に、人影みたいなものが見えなかった?」
「そんなことは。最近、娘さんとも会ってなかったですし…。ねえ、牧野さん」
男女合わせて三十人くらいはいる。
「透矢さん…もう大丈夫ですから、動いて下さい」
僕はぎりぎりのところで欲望を振り払った。
「ほらー、雪ちゃんと那波ちゃんはボクの味方ー」
「駄目です…っ!」
目を覚ました、記憶を無くした、母さんは死んだ、父さんも重態。
「僕が、ついていくっていうのは無し?」
「どうかされました?」
「和泉ちゃん! 落ち着いて…」
限界が近かった。
ぺこぺこぺこぺこ。
僕を死に引き込む音。
「私たちっていうか和泉だけでしょ。よだれ出てるし」
そう言って、庄一は人の間をぬってスイスイと舞台に接近していく。
割れ目を押し開き、入り口に小指の腹をあてがう。
上がり症だっていう花梨だけど、舞だけは特別のようだ。
「そう思ったら悔しくなっちゃって。私、初めて本気で神様にお願いしたんだ…助けてください、って」
しばらくじっとしているだけでも、僕は達してしまうだろう。
マリアちゃんを寝かしつけて、ようやくひと段落。
「応援というか様子見というか…。とにかく、明日はいよいよ本番だからね…ごちそうさまでした」
「はぁ…こういうことになると、ホントにお馬鹿さんになっちゃうんだから。つき合いきれません」
「ありがとうございます。次は、本業のほうを頑張りますね」
「あり得ますわ」
「よろしくねー、私は行く気ないから」
「間違い電話?」
逆を言えば、彼女といる間は誰もいなくなる。
「透矢さんは亡くならなかった」
「…そうさせていただきます」
「うれしいなぁ。そんなこと言ってくれるの、透矢くんだけだよ」
「昨日は、どうも」
「…意地悪なこと、言わないでください」
金属片は、花梨がそこらに落ちてるのを拾い上げただけのものだ。
困り果てていると、後ろから肩を叩かれた。
「だから、俺にもわからないんだって。花梨に聞いたほうがいいんじゃないか?」
「和泉ちゃーん、ボクもー」
「断られちゃった?」
夜の山?
「そうだよね。和泉の気持ち、わかってたはずなのに…いなくなった途端に、これだもん」
「どう思われたっていいわよ。マリアが元に戻ったなら、それで」
「お父様…」
あの、赤い目。
「でも、わからないはずがないって…」
世界は、こんなにも美しいものなんだ…
「いいことなのかなぁ…ひゃっ…」
「花梨ちゃんの真似ー」
彼女は川べりにたたずみ、また、空を見上げていた。
ひどい言われようだけど、どうにも反論の余地がない。
「いっっっ!」
「な、なんでわざわざ巫女服なのさ」
しばらく、何かぶつぶつ言っていたけど結局、和泉ちゃんは何も言わず、がくっと頭を垂れた。
花梨には『まあ、行けたらね』と返事をしてしまった。
「この写真に写っているのは…」
「防空壕のこと調べようと思うんだけど、つき合わない?」
「ここが、おうちなんですの」
「ホントにぃ? 走れるくらい?」
「いえ、特に。本は好きですけど」
「じゃあ、次にやる時は声をかけてよ。手伝うから」
「寂しい、ですか?」
「ウチはおまけなんだよ、おまけ。まあ、後かたづけくらいは手伝うさ」
「実際、そうだと思うよ」
「も、もう…鈴蘭ちゃん、私と一緒に短冊飾ろ」
「僕と牧野さんみたいだったけど、いつもと雰囲気が違ったね。過去って雰囲気でもないし…」
そういうことに、なるんだろうか?
「花梨が一緒にいてくれれば、もう少し頑張れそうだから」
マリアちゃんのためだとわかっていても可哀想だ…彼女にしろキツネにしろ。
「それは…ひどいね」
足音が近づいてきた。
「じゃあ、今まで通りに、和泉ちゃんでいいかな?」
それをつまむようにしながら、胸全体をゆっくりこねるようにして、もみしだく。
元よりしめつけが厳しい中で我慢していたせいもあってか、限界が近かった。
「感じ悪いなぁ…」
「家にいると、ちょっとな。試合前で練習も実践が多いだろうし、出てもいいかと思ってさ」
言葉をつなぎあぐねる僕に、彼はおもむろに右手をさし出してきた。
「あら…さあ、どうぞ」
「病気?」
「今度は、僕がしてあげる」
「普段だって、何?」
腰の動きに合わせて吐息を漏らす。
「出入り禁止って、どういうこと?」
僕はひとり、家路についた。
「綺麗だね…」
「いいよ、何回でも…可愛い顔、見せて」
「はい、座って良し」
そうだな…。
「あのぅ…それでですね…」
「じゃあ私はこれで。明日の夜、忘れないでね。七時に宮代神社だから」
それは緊張するでも、なれ合うでもない自然体での口づけ。
「…もう少しだけ、お母さんの代わり、させて」
「和泉ちゃんにだって、やることはあるでしょう?」
「透矢っ、聞いてる?」
困惑気味のマリアちゃんを引きずるようにして、アリスは元気良く、急勾配の坂を上っていった。
この場合、他にどうしようもない。
「こんにちはー」
地面に、黒いシミのようなものが広がっていた。
「なるほど、事情が飲み込めた。おまえ、花梨から何も聞いてないな」
(だけど…僕が挑もうとしているのは、普通のことじゃない…)
「黙っててよ。マリアには関係ないんだから」
実際に写真を取りだして仰天した。
「駄目」
雪さんは、感謝の気持ちを表したいからと、僕のメイドになるっていう選択肢を選んでくれた。
淡々とした庄一の言葉に、鈴蘭ちゃんはおどろくほどおとなしくなった。
言われなくても――
笑い顔の時にチラリと覗く鋭い八重歯がとても可愛らしくて、印象的だった。
頭を撫でつつ、そう漏らすと、彼女は不意に顔を上げて、自分から唇を重ね合わせてきた。
「うん。僕は好きかな」
「私が脱ぎたいの」
腕を引く…一瞬、ぞくりとした感覚が走りはしたけど…いける。
「かもね。でも、これが本当の花梨なんでしょう?」
そんな具合で、面会時間中、呼びかけていたけど、彼女が目覚める気配は一向になかった。
それでも、最後の最後に泣きそうな顔をして、
シャツの繊維をかいくぐり、雪さんの吐息が僕の背を愛撫する。
「ぅ…ん…」
「あのぅ、そういうのじゃなくてですね」
「透矢は…どう?」
忘れる気だ…。
「っ、那波…僕…そろそろ」
「…ぅ…ん」
庄一あたりなら知っているかもしれないし、あとで聞いてみようか…。
「あの、私たちに用とか、ある?」
「本当に申しわけありません」
僕は泣いていた。
「お姉ちゃんっ、冗談でも、都合のいいなんて言ったら駄目!」
「あ、カブト虫ですよ、カブト虫」
見るたび、意識がはっきりしていくような、この夢の中で、僕は何度もそう叫んでいた。
「体調が悪いとかじゃないからね。そんな事言ってたら、授業もおちおち受けていられなくなっちゃうよ」
「あの子のこと、気になりますか?」
「ばっ!」
アリスの口内には、今も、我慢しきれずあふれたものが、注がれている。
「ついさっきだけど」
『ママ…』
「じゃ、そんな感じで決まりだ。やっぱり和泉ちゃんがいると違うな」
「あ…雪、そんなつもりじゃ」
「宮代さんが、舞に失敗してしまって、泣き崩れて…その後…彼女は目覚めないんですの」
「だってぇ、那波ちゃんばっか見てるんだもん。透矢ちゃんのエロー」
良くわからなかったけど、なんだか放っておくこともできなくて、僕は、その手を撫でた。
足下から、眠たそうな庄一の声がした。
「透矢ー、この前ってなんの話だよ」
夜の山で迷うという絶望的な状況と、目の前の少女の発する魔力のようなものに怯え。
べっ、と舌を出されてしまった。
赤くなった部分をさすると、顔をしかめた。
彼女の行為からは、いつも二種類の愛情が感じられる。
「防空壕なんだし戦争中のことでしょう?敵に見つかったんじゃないかしら」
「きれいだ…」
「はわっ!?」
「花梨は、どこかで見なかったの?」
でも、残念ながら返事は芳しいものではなかった。
「じゃあ、戻る?」
…聞かれてるのか?
彼女は、歓喜の表情を浮かべながらも、押し殺したような声をあげた。
「お姫さまは、大げさで」
「隠してない」
「うん。ね、アリス?」
「ま、まあ、とにかく今は涼しくなった。ありがとうね、雪さん」
私は、少女に膝まくらをされており、彼女は私の頭を優しく撫でてくれていた。
きついしめつけに、吸い上げるような感触。
ああ…何かが終わったんだ、という気持ちで満たされる。
「この子たちは、もう…」
にしても、今回のアリスの態度はどうにも解せないし、マリアちゃんのことも心配だ。
「はぁ…じゃあ逆に苦手な教科は?」
「っっ。か、花梨、つま先で蹴らなくてもいいのに」
「嫌なんでしょう? それに…同じ時間なら、弓道よりも大切なものに使ったほうがいいよ、きっと」
僕の気持ち。
「っぁ…んぁ、っぁ、っぁ…」
手紙の内容を考えると、わかっていながら無視してしまうのは、気が引けた。
後ろめたさから、どうしても、窺うような調子になってしまう。
「…そういうものですの?」
「透矢さん、朝ですよ」
「マリアちゃん、大和神社にいたの?」
「そんなんじゃないけど…」
ピンク色のきれいなひだの中にある、小さな穴。
「本気にしてしまいますから。はい、お弁当ですよ」
てっきり、もう女の子に譲ってしまったと思っていたのに。
とりあえず、ショーツ越しに軽く撫でてみる。
和泉ちゃんの話。
「鈴蘭ちゃん、なめるって、なんのことを言ってるわけ?」
「ご、ごめん。これを渡そうと思って」
「代わったげよーか?」
例のキツネか。
「あ、え…?」
気がつけば、そうだ、確かに僕はここにいる。
「僕は反対だよ。そんなこと言ったって、花梨に嫌な思いをさせるだけだ」
ふたりは行ってしまった。
でも…もう少しの間だけ、僕が僕のままでいても、いいよな――?
「えへー、透矢ちゃーん、また遊びにくるからねー」
「ストップ。じゃあ、そのあと何をするかホントにわかってる?」
指先で根本をつまんで、しごき始める。
「花梨は、ズルなんか…」
なにせ、僕自身、昔のことらしい夢を見たり、おかしな幻を見たりするんだから。
「…お手やわらかに。じゃあ僕も、もっと雪さんのこと勉強しないとかな」
先生は横顔だけで僕を振り返ると、すぐまた黒板のほうを向いてしまった。
しかも、よりによって正面から全身をとらえているようなものが、これまた多い。
「さあ、参りましょう」
「とにかく、いい気持ちなんだ…あったかい…ううん、居心地がいいのかなぁ」
「拗ねる、ですの?」
「お茶が入りましたよ」
「ああ…行こうか…」
「あ、ちょっと…」
大丈夫だよ――幼い僕が、彼女をなだめる時に使った、無責任な決まり文句だったことを。
かき氷を消化したかったわけじゃなくて僕に食べさせる事、が重要だったらしい。
僕は、外出する旨だけを乱暴に書き置きし、家を出た。
「やらないよりマシか…」
本当に、優柔不断というか気が多いと言うのか。
二重人格?――なんだかわからないけれど、僕の好きな那波は、こうじゃないはずだ。
板張りの床は、ひんやりしていて気持ちいいけど、ちょっと固い…
お尻の下敷きになっている部分だけ、腰を浮かせて持ち上げる。
マヨイガ、神隠し――あれも夢や幻の一部だったのか…?
と、考えることをやめて力をぬいた僕は自分の体に異変が起こっていることに気がついた。
「いや、すごく似合ってると思うよ。お世辞とかじゃなくて」
二人は契りを結んだ。
いくら軽いって言っても、女の子を抱きかかえたまま、坂を上るのは辛い。
まさか舞をやめろとは言えない。
柔らかそうな乳房が、ゆがむ。
「来てくれると思わなかった」
いや、これ自体、夢なのか。
「なんて言ったらいいのかな。不便なこととかあったら、遠慮なく言ってほしいんだけど」
「もぉっ、幼なじみのあいさつにしてはぎこちない」
…みんなして、僕をからかっていたのかもしれない。
戦の危険から彼女を遠ざけるという点でこれほど適した場所もない。
「だから、言えないの」
「久しぶりですよ。こんなふうに、自転車のうしろに乗せていただくなんて」
牧野さんの手は、冷たい。
「ヘッドドレスのことですか?」
「おまえらの場合、腐れる前にどうにかしたほうがいいと思うぜ」
「ええ。ついでに、そんなことを聞かされたところで、どうにもしようがないんだけど…」
「いや、ちょっと…」
笑いながら、今度は、僕に向かって水を蹴り始めた。
「す、鈴蘭ちゃん?」
「何それ? ひょっとして、気でもつかってくれてるの?」
「いいけど、何するの?」
「まだ、家に戻られていないと。心当たりはありませんか?」
ただ、彼女や僕――人という生き物に、わずかでも奇跡を望む力があるというならば、
「緊張してるみたいだから。もうちょっと力を抜こうよ」
「続き、してくれる? 今から…」
「はは…」
「可愛かったよ。雪さんには悪いけど、最後のは、あったかくて気持ち良かった」
「ほんっとぉに、ぜんぜん覚えてないものなの?」
ぎょっとして、口を止める。
「ええと…それで、どうする?」
…看病するのは、ちょっと楽しいけど。
そこに迷い込んだ者は、神隠しに遭ったと言われる。
「っぁ」
「んー、いつも負けてる気がするけど」
「明日、私とデートして。部活の後でいいから」
「おねえちゃんが変なところに打つからだよぅ。大丈夫ですか、透矢さん?」
「いいえ、特には…宮代さんは、倒れられましたけど…」
「あーーーっ!」
彼女を抱きしめ、すべてを受けいれてあげることも、
神様も何も、信じられたものじゃない。
「そうだよ。大丈夫だ」
「どんなふうに?」
「遊びじゃないっつってんだろうが。大人しくしとけ」
「お願い、お書きにならないんですの?」
「でも、なんとかしなきゃいけないんだ、なんとかするよ。涙石なら、僕も持ってる」
「あーーーっ!」
視線を戻すと、親子は、まだじゃれあっていた。
「行っちゃったな…」
「もう半分は?」
「しかし、当然の成り行きだろう。あいつもわかってるだろうし…」
「気持ち良さそうだったけど…」
「ええ。ですから、あるべき場所に帰りますわ」
僕には母さんなんていない。
とにかく、彼女は意外にすんなり受け入れてくれた。
背筋に寒気のようなものが走り、一気に射精感が高まる。
(思いっきり涙目で言われても…)
僕はそんな彼女のブラウスの下のほうのボタンを外し、隙間から手を差し込んだ。
僕のそれを、きゅうくつな場所から解放してくれた。
「あの、かり…?」
牧野さんと別れ、弓場を訪ねると、
「はは…花梨には、僕がつき合うから、ふたりで行っておいでよ」
その笑顔に、僕は、スイカ割りをして良かったな、なんて、いかにも単純そうなことを考えた。
本当か?
なんて訴えてくるあたり、雪さんは、変なところで子供っぽい。
「ちゃんと、苗字から…です」
偶然、奇跡?
マリアちゃんにとって、あれは確かにお母さんで、存在もしていた。
「それじゃあ、また…明日はあそこにいると思うから暇があったら来て。あ、本は返しといてねー」
「花梨ちゃんに言いたいことがあるの。いいかな?」
「ひがむ? どうして…おねえちゃん、なんでもできるし、頭もいいのに」
「い、いや、寂しくなかったわけじゃないんだけど…」
花梨は、もうふっきれたのか、さっぱりした表情で練習の支度を始めていた。
同じ方向から雪さんの声がかかる…彼女なら安心だ。
「いいえ。あの、それでですね、お客様がみえられているんですが」
「那波が、殺されてしまう夢ですわ」
「はは…ちょっと意外だったかな」
「いいんだよ、それで」
でも…雪さんにだって、僕しかいないんだ。
…やっぱり、甘い。
「おかげで朝練にも集中できるねぇ…」
お腹から、性器、お尻の上にいたるまで何度も何度も、白濁した欲望をまき散らして。
「…どんな夢?」
「もう写すって言ってる。あっ、あと一問でおしまいだよー」
「私の、おっきくなったよ」
「もう…」
「…僕から話すよ」
普段の夢とは違って、僕じゃない僕の意識が介入して来なかった。
「あ?」
「そこー」
「おねーちゃん! もう、そんなつもりで見てたわけじゃないですよね?」
なんだろう?
「…謹んでお受けします」
彼女は、休むことなく体を入れ替えるとそそり立ったそれを口にふくみ、舌を絡めはじめた。
顔を真っ赤にして、行ってしまった。
「ふたり一度に口説こうなんて、考えが甘いのよ」
「もうすぐテストってことは、そろそろ、夏休みの予定を立てないとってことだよねー」
「ボクのバカ兄ちゃん」
「うん。ベッドにしておけば良かった」
「ぅぅ、今日はすみませんでした」
「じゃあ、好きな本とか、面白かった本とかについて話をしていた?」
「…好きだよ」
「大丈夫かなぁ…」
でも、わざとらしく腕を組んできたところを見ると、半分は嘘に違いない。
「ええと、胸に手を当てて考えろ?」
「…すごく、良かった」
「体調が良くなり次第、参加するって」
「っく…ふぁ…」
仰天した。
「寝坊じゃないかな。那波ちゃんって、すごい低血圧みたいで、朝に弱いの」
急に手が離れ、花梨はふんと顔をそむけると、ひとりで歩き出した。
初めてだけど、体は近い状態になった事があるっていうことか。
「よろしくねー、私は行く気ないから」
「何から?」
「透矢さんは…雪がいて…」
「うん。再来週くらいかなぁ…」
「…仕方がありませんの。夢の中の那波はそのための存在ですから」
「自信、あるんだ」
きっと夢だと、心の中では思っていた。
「あら、ですけど、おいしいですわ。不思議な味がします」
いや、もっとも正しい形容は、そう――
「正確には、答えてないんだ。僕にはわからなかった…」
「ぁ…ぅん……して」
「知っているっていうことはね、もう、それを可能性として認めているって事」
「花梨…あの…」
だから、キミまで消えるな。
「…もしもし?」
「へ? ふぐっ!」
でも、こういうときって、何を話したらいいのか、わからない。
「それに餌づけしてるってわけよ」
「あの、バスローブを…っあああ!」
食材にしろなんにしろ、二人分しか必要がないから大した荷物にもならない。
「え、ええっと……ありがとう」
「それも、わかりませんわ」
「なんか懐かしいね、こういうの」
「透矢…」
花梨の用意してくれた花火がなくなったところで、今年の七夕はお開きになった。
「うんうん。私たちも、無理に泳げなんて言う気はないしさ…」
「前はつかみかかってきたものだが…少しは受け入れてくれたということか」
心配なんだろうか?――自分でも、よくわからない。
パタパタパタ…
まあ、お姉ちゃんとしては叩いて当然の場面かもしれないけど。
局部との間に伸びる糸が確認できた。
「ああ。じゃあ、ちょうどいいから、この本の続きから読んでみるよ」
まして、こっちには記憶がない。
それだけのことであると思う。
「僕は何もしてないよ。でも、人が死ぬって…なんでそんなものを見たのかな?」
「…ええ。ですけど、最初は雪にさせていただきたいんです」
「申しわけありません。ですけど…こうしなければ、透矢さんを巻き込んでしまいます…」
「よろしいんですか? 遅刻してしまっても」
忌々しげに言いながら、花梨は日本史の参考書を閉じた。
「…行こうか」
「…起きろっ、このねぼすけ!」
そして、股間にあてがっていた指先で、くわえていたシーツをつかみ、それを口もとへ運んで、
「ああ、借りっぱなしの本があった?」
やっぱり慣れている。
(ひょっとして、牧野さんも同じ夢を…)
ぱんぱんに張ったブラを下からめくり上げると、ちょうど、てっぺんの辺りで引っかかった。
「わぁ」
「良かった…私、おねえちゃんとしか比べたことないから…でも、おねえちゃんだと、まるで同じだし」
坂を下っていくと、静かな住宅地のような場所にさしかかった。
そして何より、私は山に生きる、人喰いの話を聞いていた。
「いなくなっちゃった時」
心の底から嫌悪している、っていうわけでもないようだ。
僕は、そのまま、彼女の体を自分のほうに引き寄せた。
「…違うよ」
「マリアなら、もっと上手にやる。早くに見つければ助けることだって、できたかもしれない」
美しい彼女からは、想像もできない…
「だって、めんどーい」
「ホントに長い髪だね」
「どうして、みんな、僕だけ置いていこうとするのさ」
「私って、いつもこうなんですよ。帰るおうちはあそこしかないのに。ホント、馬鹿みたいです」
そういうところが、花梨の中では引っかかっているのかもしれない。
あわてた自分が、ちょっと情けない。
「花梨ちゃんと?」
「変態さんだし」
光が舞う。
「和泉ちゃんの声が聞きたくて…」
「ん…っふぁ…まりあ…?」
「和泉さんの協力があればこそですわ」
そんなものが存在するのかどうかはわからないけど、それはそういう感触で、
真っ直ぐ純粋なマリアちゃん、彼女を現実から守るために強くなったアリス。
と、そんな調子で、三時間も話し続けてしまった。
あれは、ナナミ?
続いて、香坂姉妹、和泉ちゃんが、暗がりの向こうから姿を現した。
僕が守るべきだったもの。
「雪さんの起こし方、優しくて好きだよ。明日もよろしくね」
ゆるやかな昇り坂の向こうで、高くそびえる門を見上げながら、僕は内心でゾッとしていた。
「だ、だってぇ! いま、あんまり動くといっぱい…こぼれちゃう」
なんだ、今の声は。
少し、舌を入れてみる。
「この、馬鹿マリア」
「あ、え!?」
ぼんやりした瞳で見上げる和泉ちゃん。
芝居がかった調子で言うと、口元だけで笑ってみせる。
「雪でしたら、どこにも行きませんよ」
「来てないわよ。山に帰っちゃったんじゃない?」
「まあまあ…」
そのまま、僕は那波を抱き続けた。
「いいんだけどね、慣れてるし」
行為が終わっても、双子は舌を絡めるのをやめようとしなかった。
「…!」
「透矢くん、席、こっちだよ」
「怒ってたというより…痛いところを突かれてムキになってた。花梨の言い分は、もっともだったし」
女の子ひとり止めることができない、僕には、どうしても、そんなふうには思えなかった。
「あれは人権ないからいいの。でも、何かわかるといいね。ちょっと楽しみ」
共通しているのは、波の音と、それからきれいな女の子が出てきたこと。
「あのぅ、透矢さん、ひょっとして、恋人さんかなにかですか…?」
「わふ?」
「あの、バスローブを…っあああ!」
「ホント、ごめんね。病人がいて…」
「そんなわけないじゃん。だいたい、苗字がそんな簡単に変えられますか」
「夢のことを医者に相談っていうのは…」
「雪さん…子供ができたら、雫っていう名前にしない?」
彼女を押し返し、つき放してしまうことも、
「なんだか、久しぶりのような気がしますわ」
「詳しい事情はわかりません。すべては、透矢さんのお父様からうかがった話ですから」
「本当にね。それにしても…キミ、また夢見たの?」
「…はは、ふたりっきりだと、よけいに広く感じるね」
やっぱり、彼女がスイカ割りにこだわったのは、『単純にスイカが食べたかっただけ』のようだ。
「久しぶりっていうのは、僕が入院していたせい?」
『こんな気持ち、初めてだもの』
誰もいなければ、すぐに帰ってくればいいだけのことだ。
やっぱり…。
「そ、そうですか」
服や髪型が可愛らしくなったからって、中身までこんな…
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、私も立候補しちゃおっかな」
「そんなこと、ないけど…」
僕も、和泉ちゃんに負けないくらい真っ直ぐ、花梨のことを想っていられたらいいな…。
「ほんの少し、興奮はした…かも」
本当に、中途ハンパに顔を出したりするものじゃないな。
「ああ、死にやしないだろ。なんかあっても病院だし」
「こんばんは、鈴蘭ちゃん」
『雪は、おまえが守れ』
軽くうなずき、ひと呼吸。
足にしがみつかれた。
「だって、事実あなた自身、覚えていないんでしょう? 自分が何者なのか」
「ねえ、どうして、こんなところに住んでいるの?」
「もうすぐテストってことは、そろそろ、夏休みの予定を立てないとってことだよねー」
「ばかぁ。そんなとこ舐めたらくすぐったいってば」
『透矢、雪は…』
そんな気がしたから、ふたりには何も言わずにおいた。
「え? あ、ちょっと…」
あのときだけ、彼女は僕のことを旦那様と呼んでいたけど、それとも、何か関係があるんだろうか?
心なし、ほほが赤い。
「自分の言ったことぜんぶに、責任が持てる人間なんていないと思うよ?」
「ったく、これだから男って…私、着替えてくるけど、変なことするんじゃないわよ!」
「元気がありませんね。また夢ですか?」
「あの、今度はちゃんと…顔、見せて」
「不安だなぁ。また、ナナミさまにでもお願いしておかないと」
そういえば、入院中に、山のほうを調べるとか調べないとか言ってたっけな…。
僕はゆっくり、腰を前に突きだした。
子供の頃の記憶がそうさせているのか、それとも、遺伝子に眠る、はるかな、過去の、記憶…
アリスが何も言わずに手を差しだした。
「ですけど、うれしいですわ。とりあえず上がってくださいな」
「花梨、自信をもつんでしょう?」
ぐりぐり――アリスの口調は軽いけど、マリアちゃんのほっぺたは、もう真っ赤になっている。
「今の僕が首を突っ込むことじゃないと思うんだ。冷たいかな」
足のケガのせいか、花梨の体は、簡単にバランスを失い、倒れこんでしまった。
「そんなこと、ないけど。こっちも、胸とおんなじで大きいから、あんまり…」
「ママ、って言ったほうがいいのかな」
「でも、同じだよ。月だ」
鼻をひくひく、辺りを気にしている。
「…牧野さん?」
「ん。ね、そろそろ、見たくない?」
「それも嫌」
「…ん…っぅ」
「あはは、これ、しばらくネタにできそうだねー」
「じゃあ、僕はそろそろ行くね」
「あのぉ、透矢さん?」
「ぷぁ…おねえちゃん、気持ち良かったよね?」
「僕だって雪さんのためなら、これくらい苦じゃないよ」
「くそっ…」
「ダメ」
普通に考えて、先約なんだから花梨を優先すべきだろう。
六時になると、どこかで聴いたような音楽と共に、図書館の閉館が告げられた。
それがうれしい。
「謝りたい事とか、話したい事とか、いろいろあるんだけど、とりあえずね」
「してるよー」
「僕は、だましてないとしか言えないよ。こればっかりは、信用してもらうしかないね」
ひょっとして、牧野さんが見ている夢っていうのは…今、ここにいる彼女の姿だったんじゃないか?
「電話越しだって、それくらいわかるんだから」
「ん…和泉には、悪いなと思うんだけど、だからこそ、着てみようかなって」
「へ? ちょっ、ちょっと待っ…!?」
「でもね、無理しちゃ駄目だよ」
何をどうすると、これが『いいなぁ』になるんだろう?
「遊び相手って…確かに、雪さんがそれでいいなら助かるのは助かるけど」
はじかれたゴムは跳躍し、重力に従い、垂れ下がる。
「極論だね」
そして、僕は彼女の望みを叶えてあげることができる立場にいるんじゃないか?
「嘘だもん…そんなこと言って、本当は目が覚めなければいいって…」
「自分で言うのもなんだけど、僕くらい頼りにならない男ってのも、なかなか…」
「ちょっと待って」
知ってしまったことで、わからなくなることがあるなんて思わなかった。
「ああ…ちょっと嫌なことがあってね」
それを終えたと思ったら、今度は掃除。
「この人が、きのう言っていたお姉ちゃんかな?」
「っ…え?」
「明日そっちに行く。ほっぺたも、そのとき治すから、許してあげて」
「おはよう、花梨」
父さんに言わせれば、ここは、現実から切り離された、特別な場所なんだから油断もできない。
「夢に、見ましたの」
「なんでも読みますわ」
「しつこい! 早く、早くどっか行きなさいよ!」
僕はまだ見て回っていない、集落の外れに足を運んでみることにした。
「お、いけそうだな…って、どうした?」
「…では! では…わたしは…」
僕は、花梨の手を取った。
「大丈夫。ケガしてるからゴム弓じゃないと無理ってことにしとけば」
思いっきり、息を吸った。
「残念ながらね。それより大丈夫?」
花梨は真っ赤な顔をして、早口で一気にまくし立てた。
「聖母様…確かに」
雪さんのおかげで、免疫がついたんだよな――
「…いいよ」
「体が弱かったから、かな?」
「…すごく普通だね」
「川で見せましたのに」
本当は、もっと、みんなと遊んだりしたかったけど、そうすると迷惑がかかっちゃうみたいです。
「ママのことなら大丈夫よ。あなたのことは、この私が許してるんだもん…安心して任せられるって」
「…ありがとう…庄一」
「あと、雪ちゃんが仕事してるときみたいな恰好すると気持ちいいの?」
迫ってくる。
大会や試合の時しか顔を合わせない人たちなのに、みんな僕のことを覚えている。
平穏だった水面が波立ち、月だったものが光のつぶてに変わる。
いたずらでなければ、これはたぶん…
手加減なしに、腰を叩きつけ、そして、ぎりぎりまで引き戻す。
何度も何度も、自分の命を吹き込むように。
雪さんは、この人にはめずらしい、少しムッとした調子で言った。
「なんか、話がずいぶんそれたぜ。課題のテーマが、っていう話だったよな」
恥ずかしすぎる…
「マリアちゃんが?」
「嘘。楽しかったとか言ってたくせに」
「雪さん、ご両親のことは、ぜんぜん覚えていないんだっけ?」
「っ…ちょっ、お腹は、いいってばぁ」
ぴったりと、一分のすきまもなく押し込まれたものから、欲望が吐き出された。
拭っても拭ってもあふれてくる涙。
『牧野』それから『雪』と――
「妹やめちゃえー」
けっきょく、『お買い物はまた今度にします』なんて事を言う雪さんとの食事を終え、部屋にこもった。
二階建ての建物で、本来は、主に教会関係者が寝泊まりするための建物だったらしい。
彼女の、あの声を、
「このまんまだと思うけど。身長も体重も胸もお尻も腰も、一年くらい変化していないんだから」
「男子は個人、団体共に優勝。女子は団体のみ優勝」
「嫌なことなんてありませんけど…」
いちど忘れた記憶だ。
「私がどうしたって?」
「ふーん。和泉のこと、好きじゃなかったんだ」
「じっとしていてください。あまり動かれると、キスしてしまうかもしれません」
「事実だから」
1001 :
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