脱毛の原因遺伝子特定 三島・国立遺伝研 05/26 08:12
三島市の国立遺伝学研究所の相賀裕美子教授の研究グループが遺伝性の脱毛や薄毛の
原因遺伝子を特定し、米科学誌の25日号で発表した。この遺伝子が関係する髪の毛の
キューティクル層の異常が、原因の1つになっていることを突き止めた。今後の新しい
脱毛治療に糸口を与える成果という。
グループは、関連遺伝子が機能するスイッチの役割を果たす転写因子「Sox21」を
働かなくさせたマウスで実験。このマウスは体毛の寿命に準じて周期的に完全に丸裸に
なるほどの脱毛を繰り返し、Sox21は毛髪の表皮であるキューティクル層の形成で重要な
働きをする遺伝子の機能を制御していることが分かった。
Sox21はキューティクル層を作る細胞にのみ特異的に機能し、Sox21が無くなると
ケラチンタンパク質が著しく減少して毛を毛根につなぎとめるために必要なウロコ状の
構造が無くなることも電子顕微鏡の観察で明らかになった。
研究グループによると、毛根自体の形成に異常をきたす変異の場合は、永久に脱毛
状態になる。マウスをモデルとした実験で周期的脱毛例は報告されているが、原因は
これまで明らかにされていなかった。ヒトの毛根を調べた結果でも、Sox21はマウス
同様にキューティクル細胞に機能していることが判明した。
相賀教授は「Sox21が脱毛の原因遺伝子であることや、脱毛の過程が明確になった。
必要なタンパク質を補ったり、タンパク質の合成経路を活性化させる新薬の開発などに
つながるのではないか」と話している。
静岡新聞
http://www.shizushin.com/news/social/shizuoka/20090526000000000017.htm