昨冬中に宮城県内で確認されたガンやハクチョウの数が例年より少なかったことが、宮城県のガンカモ科鳥類の
生息調査で明らかになった。
「暖冬の影響で、冬を越すために南下する必要が薄れた」(自然保護課)とみられる。故郷に向けて飛び立つ「北帰行」も早まり、
気候の異変が渡り鳥の生態を変えつつある。
生息調査は毎冬、11月から3月にかけて3回実施。昨シーズンも県内約480か所の飛来地で自然保護員らが調べた。
◆ハクチョウ類は前年の4割程度◆
3月調査で確認されたハクチョウ類は1175羽。3000羽を超えた前年同期の4割程度にとどまり、現行の調査地点数に
なった2001年以来、最少だった。ガン類は1134羽(前年同期比84%減)、カモ類も2万7208羽(同19%減)と減少が目立った。
今年1月の調査でもガン・ハクチョウ・カモ類の合計は前年同期を約1万6000羽下回った。県自然保護課は「暖かい気候で
宮城以北での越冬が可能になり、飛来数が減ったのでは」とみる。ハクチョウやカモの北帰行も例年より2週間ほど早かったという。
ハクチョウ類は主な飛来地だった伊豆沼や化女沼、白石川などで微減し、ほかの地点で増えた。飛来地が分散したことについて、
同課は「餌付けをやめた影響が考えられる」と説明する。環境への配慮や鳥インフルエンザ対策を理由に、ラムサール条約登録湿地の
伊豆沼・内沼(栗原、登米市)など各地で昨冬から餌付け自粛の動きが広がっている。
◆マガンの越冬地は徐々に北上◆
ガンやカモの観察を15年間続けている県伊豆沼・内沼環境保全財団(栗原市)の島田哲郎主任研究員は「かつて本県が北限だった
マガンの越冬地が90年代後半以降、少しずつ北上している」と指摘。中継地に過ぎなかった秋田県や北海道の湖沼で12月に姿が
確認されるなど、気候変動の影響で渡りにも変化がみられるという。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090524-OYT1T00355.htm 依頼223