異色のアマ画家遺作展 旧二宮町の小島さん 農業の傍ら72歳で絵筆
二年前、がんで亡くなった二宮町(現真岡市)のアマチュア画家小島豊さん=当時(83)=の遺作展が
十七日まで、本町の県総合文化センター第一ギャラリーで開かれている。農業の傍ら七十二歳で油絵を
始め、八十歳で公募展新人賞を受賞するなど異色の経歴を持つ小島さん。会場には同賞受賞作の「土倉」
(80号)など丹念に描かれた全作品三十一点が展示され、ゆかりの人らが生前をしのんでいる。
農業一筋だった小島さんが油絵を始めたのは妻ノブさん(故人)の勧めだったという。週に一回、上三川町の
田中絵画教室に通い、主宰者で二紀会所属の画家田中定一さん(60)=上三川町上三川=の指導を受けた。
若い人たちと一緒にスケッチに行き、壊れかけた納屋など生活に密着したテーマを写実的に描いた。
美術団体三軌会主催の公募展で二作品が入選し過去最高齢の新人賞に選ばれた時は、がん手術を経ての
制作だった。その前後には県勤労者美術展で知事賞、県芸術祭美術展で奨励賞も受賞した。
遺作展は小島さんの友人らの要望もあり、長男でイチゴ農家を営む誠さん(56)らが開いた。当初、地元での
開催を検討したが「せっかくやるなら中央で、より多くの人に鑑賞してもらっては」と田中さんが助言した。
「気持ちの若い人だった。油絵に慣れ、今後塗りが厚くなっていけば強い作品になると思っていた。最後に
描いた作品は、ホッと力が抜けたような印象」と田中さんは振り返る。「作品を通して父をしのんでもらえれば」
と誠さんら家族は来場を呼び掛けている。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20090514/147592