鉄塔の電線はどう張るの?
○ロープ→ワイヤ→電線と引くの
◇ののちゃん 郊外(こうがい)に行(い)ったら、送電線(そうでんせん)が、まさに野越(のこ)え山(やま)越え、という感(かん)じでのびてたよ。どこから、どこまで行ってるの?
◆藤原(ふじわら)先生 発電所(はつでんしょ)から、都市(とし)や工場(こうじょう)などの近(ちか)くの変電所(へんでんしょ)まで、電気(でんき)を届(とど)けてるのよ。
電気は送電線を流(なが)れている間(あいだ)に、一部(いちぶ)が熱(ねつ)になって減(へ)っちゃうの。
こうした送電ロスを小(ちい)さくするため、送電線には数万(すうまん)〜50万ボルトもの高圧電流(こうあつでんりゅう)が流れているわ。それを変電所で、使いやすい電圧(でんあつ)まで下(さ)げるの。
◇ののちゃん 送電線って、すごく高(たか)いところを通(とお)ってるね。
◆先生 送電線は電圧が高いほど、安全(あんぜん)のため、周囲(しゅうい)の地面(じめん)や建物(たてもの)、
樹木(じゅもく)などから遠(とお)く離(はな)すように決(き)められているの。だから電圧が高いほど高圧鉄塔(てっとう)も高くなるわ。
中(なか)には高さ約(やく)150メートルもの鉄塔もあるのよ。
◇ののちゃん あんなに高い鉄塔の列(れつ)に、どうやって電線を張(は)り渡(わた)していったのかなあ。
◆先生 高圧用(よう)の電線は、太(ふと)いものは直径(ちょっけい)5センチを超(こ)えるから、いきなり張るのはむずかしいわ。
まず、ヘリコプターで、数(すう)基(き)の鉄塔の間に軽(かる)いナイロンロープを張り渡すの。
そのロープの先(さき)を地上(ちじょう)にたらして、巻(ま)き取(と)り機(き)でどんどん引(ひ)く。
すると、ナイロンロープの後端(こうたん)に鉄製(てつせい)の丈夫(じょうぶ)なワイヤロープがつないであって、今度(こんど)はワイヤロープが張り渡される。
これもどんどん巻き取ると、最後(さいご)に電線がつないであって、電線が張り渡されるのよ。
◇ののちゃん 大がかりだなあ。
>>2以降に続く
◆先生 ヘリコプターを使(つか)うのは、山間部(さんかんぶ)とか、鉄塔の列(れつ)を結(むす)ぶ線の上に鉄道(てつどう)や道路(どうろ)などがあって、地上での作業(さぎょう)がむずかしい場合(ばあい)よ。
そうでないところでは、ナイロンロープを鉄塔の列に沿(そ)って敷(し)いておき、それぞれの鉄塔に荷揚(にあ)げ用のロープをかけて、人力作戦(じんりきさくせん)でナイロンロープを鉄塔に引き上(あ)げるの。
そのあとの作業は同(おな)じだけど、ヘリコプターを使うより工事費(こうじひ)が安(やす)くすむそうよ。
◇ののちゃん なるほど。でも、高圧電線は地面や建物から離さないといけないのに、なぜたるませてあるの? たるませたぶん、鉄塔を高くしなくちゃならないし、電線も長(なが)くいるのに。
◆先生 電線を水平(すいへい)にピーンと張ると、鉄塔にすごく大きな横向(よこむ)きの力(ちから)がかかるの。
これに耐(た)えるには鉄塔を強(つよ)くして、土台(どだい)の部分(ぶぶん)も大きくしないといけないんだけど、そうするとお金(かね)がいっぱいかかってしまうんだって。
◇ののちゃん もう一つ質問(しつもん)! 高いところに張られた電線には、雷(かみなり)がいっぱい落(お)ちそうだけど?
◆先生 それを避(さ)けるために、鉄塔には、電線よりさらに高いところに避雷(ひらい)線が張ってあるの。雷の電気は、この線を通(つう)じて鉄塔伝(づた)いに地中(ちちゅう)に流すのだそうよ。
(取材協力=東京電力送電グループ・金辻浩明副長、同・高橋一夫主任、構成=武居克明)
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