洗濯機 安いタテ型で勝負 家電メーカー、品ぞろえに力
2009年4月16日7時13分
白物家電メーカーが、最新鋭のドラム式より低価格のタテ型洗濯機の品ぞろえに力を入れている。
高品質で価格も高いドラム式は人気だが、景気後退で今後の苦戦も予想されるからだ。市場の8割を
占めるタテ型をてこ入れし、ドラム式との両にらみで消費不振を乗り切る戦略だ。
パナソニックが10日発売したタテ型洗濯乾燥機「NA―FR80S2」(想定店頭価格16万円前後)は
節水機能が売り。洗いからすすぎまで必要な水は99リットルと、7年前の同型機種より47リットル減らした。
パナソニックは、洗濯物を出し入れしやすい「ななめドラム」を開発するなど、ドラム式市場でのシェアは
約4割と高いが、タテ型市場では2割にとどまっていた。
洗濯機事業を担当する菊池一郎ビジネスユニット長は「09年はハイエンド(高品質商品)だけでなく、
ボリュームゾーン(普及商品)もしっかりやりたい」という。
実際、09年に入り、タテ型の注文は前年比で2倍以上伸びている。
洗濯機国内首位の東芝ホームアプライアンスは、洗濯物の容量別にタテ型だけで10機種という幅広い商品構成が強み。昨夏に投入した
洗濯乾燥機「AW―80VF」など、10万円前後の音の静かなタイプが人気を集めているという。
「タテ型に値頃感を求める層は根強く、景気悪化でその傾向はより強まる」(経営企画部)とみる。
日立アプライアンスは、08年6月に売り出した、風呂の残り湯を活用できるタテ型洗濯乾燥機「ビート
ウォッシュ湯効利用BW―D9JV」(16万円前後)が好調で、08年はタテ型洗濯乾燥機が前年比5%伸びた。
日本電機工業会(JEMA)の調べでは、全自動洗濯機の国内市場は04年以降、400万台超で横ばいが
続いており、今後も同様の水準が続くとみられる。
05年の本格普及以降、ドラム式の人気が高まっているものの価格は20万円超と高く、市場全体に占める割合は
まだ2割弱。同工業会の担当者は「ドラム式への買い替え需要も一巡した。
景気悪化を考えれば、ドラム式より10万円以上安いタテ型を検討する消費者は多いのではないか」とみている。
http://www.asahi.com/business/update/0413/TKY200904130188.html