アニメやマンガ、ゲームの「殿堂」の創設に文化庁が乗り出した。
日本が世界に誇る「メディア芸術」と位置づけ、その発信拠点として「国立メディア芸術総合センター」を東京都内につくる。
アニメ「つみきのいえ」と映画「おくりびと」が米アカデミー賞を受賞したことを弾みに、日本発の新しいアートの旋風を巻き起こすねらいだ。
国がアニメやマンガに特化した施設をつくるのは初めて。
センターではアニメなどの映像作品を鑑賞したり、マンガを読んだり、ゲームを体験したりできる。
政府の新経済対策の一つとして、設立に向けた予算117億円を盛り込んだ。交通の便がよい東京都心に施設を建てる方針だ。
日本のアニメやマンガは「ジャパン・クール」として国際的に高い評価を受けている。
だが、作品や情報がまとまっている施設はなかった。
文化庁は97年度から優れた作品を紹介する「メディア芸術祭」を都内で開いているが、展示期間は10日間程度だ。
センターは、アニメやマンガ、ゲームに関する作品や情報の収集・保存を行う。
海外へのショーケース的な役割もになう考えで、日本文化に関心を持つ外国人に「最先端の日本文化に触れられる場」としてアピールする。
京都市と京都精華大学が運営する京都国際マンガミュージアムやNTTインターコミュニケーション・センター(東京都)など、国内の大学や企業が持つマンガやデジタルアートのミュージアムとも連携する。
メディア芸術は、コンピューター・グラフィックスなどデジタル技術の進歩で多彩に発展している。
スクリーンに映った自分の姿にまったく別の映像が重なって踊り出すなど、体験型、双方向性の作品が次々に生まれている。
こうした側面から国は、国際的な競争力を持つ産業としてもメディア芸術に注目。文化的な影響力を高める「ソフトパワー」の育成にもつなげたい考えだ。
http://www.asahi.com/culture/update/0409/TKY200904090145.html