オペラの限界を超える!? ホール・オペラ モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ開幕
客席が舞台を360度取り囲むサントリーホールならではのオリジナル・オペラ企画
「ホール・オペラ モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ」が4月5日に開幕を迎えた。
1993年の『ラ・ボエーム』以来、『椿姫』『仮面舞踏会』『トゥーランドット』などの
イタリアオペラを中心に数々の名作を上演してきたホール・オペラ。ステージと客席の間にオーケストラピットがないステージは、
オペラハウスでは体験できない臨場感に溢れており、人気を呼んでいる。
今回開幕を迎えた『ドン・ジョヴァンニ』は「モーツァルト&ダ・ポンテ三部作 2008-2010」の第2作目となる
(2008年は『フィガロの結婚』、2010年は『コジ・ファン・トゥッテ』)。
まず特筆すべきはニコラ・ルイゾッティ指揮・東京交響楽団の演奏。冒頭の序曲から抜群の推進力を発揮し、
観客を物語世界に一気に引き込む快活な演奏をみせた。昨年の『フィガロの結婚』同様、
今回もレチタティーヴォをフォルテピアノで演奏したルイゾッティは多彩な即興演奏も披露。
しかもホール・オペラならではの特性=舞台上の歌手とルイゾッティの絶妙のコンタクトが垣間みられるのも注目だ。
20代から30代前半の若く勢いある歌手たちもオーケストラの快演に応える活躍。
特に、昨年の『フィガロの結婚』のアルマヴィーア伯爵に続いてドン・ジョヴァンニを演じたマルクス・ヴェルバは、
欧州のオペラハウスで引っ張りだこというだけの存在感をみせた。
セクシーなルックスはアルマヴィーア伯爵とドン・ジョヴァンニの2役に共通する「女たらしキャラ」にぴったりで、
第1幕のアリア「酒でみんなが酔いつぶれるまで」を始めとする、豪快な歌唱力も圧巻だ。
続く
http://news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=200904060011