『昴-スバル-』1点(100点満点中)
天才バレリーナの壮絶な半生を描く(はずだった)映画『昴-スバル-』は、徹夜続きで疲れているが、どうしても映画館に出かけたい人にオススメだ。なぜならコレ、最初から最後まで眠ってしまったとしても、まったく損をしない画期的な作品なのである。
寝たきりの弟の病室で、幼い宮本すばるは毎日踊っていた、弟の意識を、命をつなぎとめるために……。
やがて成長したスバル(黒木メイサ)は、踊りの師匠でもある日比野五十鈴(桃井かおり)が経営する場末のストリップ劇場"パレ・ガルニエ"で踊っている。
それを眺めるのはリズ・パーク(Ara)。のちに上海バレエコンクールで競うことになる、永遠のライバルであった。
曽田正人の原作漫画ファンにとっては、リズ・パークって誰だよオイ状態から始まることうけあいの実写映画版。ローザンヌはどこへ行ってしまったのか。
なぜスバルのライバルが韓国人なのか、なぜAraが演じているのか、最後まで見てもさっぱり理解できないという、混乱しすぎてある種のトランス状態に突入できる絶妙のキャスティングである。
このキャラクターが、たどたどしい日本語をしゃべるたび、胸にこみあげてくるものがあるのだが、彼女がスバルに「あナたのバれエは、キホンがなってないワ!」と言ったとたん、とうとう限界がきた。
一番なってないのはキミの日本語だよ。
おまけに、天才スバルのライバル役なのに、レオタード姿がとても重そうで、ダンスなどどう見ても無理状態。むしろアマレスでもやっていたほうがよさそうだ。
客を呼べるほどの知名度があるわけでもなし、いったいなぜ彼女がこの映画に出ているのか、つくづくミステリーである。
かといって、黒木メイサのスバルも決して満足できるものではない。美人だがそれだけの話で、そもそも精神の一部がぶっ壊れた天才スバルのイメージとは程遠い。
http://movie.maeda-y.com/movie/01259.htm