<日経>◇薄型パネル、次世代型の量産中止・延期相次ぐ ソニー系など
次世代薄型パネルの量産計画を見直す動きが相次いでいる。ソニー系企業は高画質で電力消費が少ない新方式パネルの事業化を中止。
東芝とパナソニックの共同出資会社は携帯電話などに使う小型有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの量産を延期する。電機各社は
新しい収益源として製品化を急いできたが、技術・価格両面で競争は激しく、設備資金の調達環境も悪化。本格的な普及期を前に、生き残り
をかけた動きが加速しそうだ。
ソニーと投資ファンドなどが共同出資するエフ・イー・テクノロジーズ(FET、東京・品川)は次世代パネルの量産を中止する。会社の清算手続きに入る方向だ。
同社が手掛ける「FED(電界放出型ディスプレー)」は、動きの速い動画の表示に優れ、消費電力は液晶より比較的少なくて済む一方、製造コストは液晶などに
比べ高い。医療・放送向けなど業務用を皮切りに、将来は家庭用テレビ用としても売り込む計画だった。
パイオニアの鹿児島工場(鹿児島県出水市)を買収して生産拠点とする計画だったが、200億―300億円とされる工場買収や
設備投資資金の調達ができなかった。自力での量産を中止する一方、国内外の電機メーカーや投資家などへ技術を譲渡し、事業化の道を探る。
東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD、東京・港)は、今年10月に予定していた石川工場(石川県川北町)での有機ELパネルの
量産を延期する。延期は半年以上となる見通し。当初は約160億円を投じて中小型パネル量産ラインを新設、月産能力は携帯電話用の
2インチ型換算で150万台とする計画だった。液晶に次ぐ事業の柱に育てる考えで、今後、投資金額や生産数量を再考するほか、
装置や材料メーカーと生産方法を抜本的に見直しコストを下げる。
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日経新聞朝刊より