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286 シザンサス(神奈川県)
<周産期医療>現場負担、放置のツケ 愛育病院が指定返上へ
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090326-00000019-mai-soci
3月26日2時32分配信 毎日新聞

 愛育病院が、妊産婦や新生児にとって「最後のとりで」である総合周産期母子医療センター指定の
返上を東京都に申し入れた問題は、安心な医療体制を維持しようとすれば労働基準法を守れない
過酷な医師の勤務実態を浮き彫りにした。

 多くの産科施設では医師の夜間勤務を、労基法上は労働時間とみなさない「宿直」としている。
宿直とは巡回などの軽い業務で、睡眠も取れる。
だが実際の夜間勤務は、緊急の帝王切開手術をするなど日中の勤務と変わらない。
厚生労働省は02年3月、こうした実態の改善を求める局長通達を出していた。

 しかし、全国周産期医療連絡協議会が08年、全国の同センターを対象に実施した調査では、
97%が「宿直制」をとっていた。77%は夜間勤務明けの医師が翌日夜まで勤務し、
翌日を「原則休日」としているのはわずか7%しかなかった。

 労基法を守ろうとすれば、医師を増やし、日勤−夜勤で交代する体制を実現するしかないが、
産科医は減り続けている。06年末の厚労省の調査では、産婦人科医は1万1783人で、
96年から約12%減っている。全国の同センターも、少ない医師でやりくりせざるをえないのが実情だ。
愛育病院のような動きが広がれば、日本の周産期医療は崩壊の危機に直面する。

 産科の医療体制整備に詳しい海野信也・北里大教授は「医療現場は患者に迷惑をかけないように
無理してきたが、労基署の勧告は『医療現場に過度の負担をかけるべきではない』との指摘だ。
こうなるまで事態を放置してきた国の責任は重い」と批判する。【河内敏康、永山悦子】