景気悪化を受けて、無料低額宿泊所は近年急増している。
本来は生活保護受給者や職を失った人を助ける目的で運営される施設だが、
「生活保護費をピンハネする貧困ビジネス」との批判を受けるケースもある。
埼玉県川口市では2月、生活保護費を振り込みでなく窓口で受け取った入所者から施設が利用料を徴収する際、
市が庁舎内の部屋を利用させる便宜を図っていたことが明らかになった。
1月には千葉市の建設会社社長が、自ら立ち上げたNPO法人が運営する宿泊所に
社員を入所させて保護費をだまし取ったとして、千葉地裁で懲役5年の判決を受けている。
宿泊所が入所者から徴収する利用料は、多くの場合、家賃よりも取りはぐれのない税金を原資とする生活保護費だ。
名称とは裏腹に無料でも低額でもなく、年末年始の「年越し派遣村」でさえ、
村民らに「保護費をピンハネされるので悪質な宿泊所だけは行かないように」と呼びかけた。
本来、生活保護はアパートを借りて入居する「居宅保護」が原則だが、
保証人や敷金・礼金が必要なためホームレスの人には難しい。
生活保護問題に詳しい森川清弁護士(48)は「行政の中には安易に無料低額宿泊所を紹介するところもあるが、
入所者の保護費の多くを利用料として奪い、自立を妨げている面がある」と指摘する。
宿泊所は、都道府県への届け出だけで誰でも開設でき、
国や自治体が定めたガイドライン以外、法的な規定はない。
各自治体は数年前から法整備を要請しているが、厚労省は
「公金を一切受けない善意の福祉事業者に厳しい規制をかけることには議論の余地がある」
として慎重姿勢を崩していない。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/m20090320001.html