熊本のダム、水が貯まらない 4年たっても給水できず
農林水産省が農地灌漑のために熊本県産山村に建設している大蘇ダムが、
本体部分の完成から4年たった今も、計画通りに水がたまらず、給水できない事態に陥っている。
農水省九州農政局によると、大蘇ダム(総貯水量430万トン)の建設事業は79年度に、
大分県竹田市と熊本県阿蘇市、産山村の農地計2158ヘクタールに灌漑用水を供給する目的で計画された。
ところが、その後の貯水試験で、ダム湖の水の地下への浸透量が、当初の想定(1日当たり2500トン)を
2〜16倍上回る5千〜4万トンに達しており、計画通りにダムに貯水できないことが分かった。
ダム湖周辺は阿蘇山の噴火に伴う火砕流が堆積し、水を通しやすい地質のためだ。
国は今年度中の事業完了は困難と判断。来年度に予定していた給水も先延ばしすることを決めた。
当初、87年度の完成を目指していたが、20年以上もずれ込んでいる。
この間、事業費も膨れあがり、当初予定の130億円から593億円まで上昇。
国は貯水試験を続行し、必要に応じて追加の浸水防止工事を検討する考えだ。
しかし、周辺自治体はすでに多額の費用負担を迫られており、さらなる支出は財政的にも厳しい。
農政局は「これほどの水の浸透は想定できなかった。
給水を待ち望んでいる農家の方々には大変申し訳ない」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0314/SEB200903140003.html