長崎の老舗バー「やまもと」3月末閉店 常連客ら別れ惜しむ
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20090313/12.shtml http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20090313/12.jpg 慣れた手つきでシェーカーを振る山本さん=長崎市銅座町、カクテルスタンドやまもと
長崎市銅座町の老舗バー「カクテルスタンドやまもと」が今月末、閉店する。
店主の山本浩さん(74)と、京子さん(66)夫妻=同市ダイヤランド二丁目=は四十年間、二人三脚で店を切り盛りしてきた。常連客は長年親しんできた店との別れを惜しんでいる。
同店は、一九六八年に同市浜口町に開いた「スナックやまもと」が前身。七〇年に「カクテルスタンドやまもと」に改名し、現在地に移転。
「本物のカクテルを作る」を信条として、山本さんは銀色のシェーカーを振ってきた。「一杯一杯に心を込めたい。手抜きは一切しない」と話す。
十九歳の時、友人の紹介でこの世界に入った山本さん。店を持つ前は、市内のクラブやバーで約十年間、修業を積んだ。レシピを覚え、先輩の姿を盗み見て作り方を学んだ。
今では約百五十種類を作り、客のリクエストにも自在に応えることができる。
長崎にちなんだカクテルの創作にも力を注ぎ、これまで四種類を考案。長崎くんちをイメージした「龍踊」は、ジンをベースにレモンジュースなどを組み合わせた甘酸っぱさが特長。
ほかの「ながさき」「出島」「トーマス・グラバー」と並び同店の人気メニューになっている。
八三年からは八年間、日本バーテンダー協会長崎支部長を務め、若手の指導に尽力。「レシピ通りに作っても物足りない。長い時間をかけて技術を磨き、自分の流儀を持つこと。最終的にはそれが味を決める」と教えた。
つづく
>>1 バーテンダー一筋の夫を陰で支えてきた京子さんは「夫はまじめで職人肌。カクテルに命を懸けている。たぶん病気になってもカウンターに立つでしょう」とほほ笑む。
子育てと家事の合間を縫っての仕事に苦労もあったが「お客さまに恵まれ、自分も商売人として育ててもらった。長い間ありがとうございました」と京子さん。
閉店については、数年前から「四十年を区切りに引退しよう」と夫婦で決めていた。
常連客からは「辞めないで」と惜しまれるが、山本さんは「カクテルは自分にとって宝物。多くのお客さまと巡り会い、人生に触れることができた。
振り返れば一日一日が大切な思い出。悔いはなく、今はさわやかな気持ちです」と語った。
三十一日まで営業(日曜定休)。開店時間は午後六時から午前零時まで。問い合わせは同店(電095・824・5183)。