全国八幡宮の総本社・宇佐神宮(大分県宇佐市)の宮司職を巡り、神社本庁(東京)と、世襲してきた
到津(いとうづ)家が激しく対立している。
前宮司の死去に伴い、昨年8月から空席だった宮司に県神社庁長で瀧神社(同県玖珠町)宮司の
穴井伸久さん(60)が2月26日付で就任したが、ナンバー2の権宮司を務める到津家の長女克子
(よしこ)さん(40)らが「乗っ取り行為だ」と反発。宮司の辞令を出した神社本庁に脱退届を提出した。
同神宮の宮司は南北朝時代から到津家か宮成家が務め、戦後は到津家だけで世襲してきた。
2006年5月、体調を崩した到津公齊(きみなり)宮司(今年1月死去)の後任に、同神宮と縁の深い
同県中津市の薦(こも)神社の池永公比古(きみひこ)さんが、公齊氏の長女で神職の経験が浅い
克子さんの“代役”として就任。だが、池永さんも体調を崩して職務が果たせなくなったため、昨年
7月、同神宮責任役員会は克子さんを後任として神社本庁に申請した。
ところが、穴井さんによると、神社本庁は「克子さんは異例の早さで権宮司になった。もっと経験を
積んだ方がいい」と判断。穴井さんを任期3年程度の「特任宮司」とする辞令を出した。
この人事に到津家側が反発。責任役員の賀来昌義さん(70)らは2月24日、克子さんを宮司とする
ことを新たに決議し、同28日に神社本庁に脱退届を出した。賀来さんは「責任役員らの総意を無視
するやり方」と憤慨、克子さんは訴訟も検討しているという。
宗教法人法では、神社本庁から脱退するには代表役員(宇佐神宮は宮司)を含む責任役員会の
議決が必要と定めており、同庁秘書部は「(穴井)宮司からの脱退届ではないので、対処しようがない」
としている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090308-OYT1T00994.htm?from=main2