先月19日、国連教育科学文化機関=ユネスコは『消滅の危機にある言語』について発表を行いました。
現在、「消滅」の危機に晒されている言語は世界で2500あります。4段階に分類される中には東京都の八丈
島の方言が含まれていて『子どもが、もうその言語を学習しない状況』とされる「危険」と分類されました。
消滅の危険がある八丈島の方言…。その現状を取材しました。
「はら弁当箱はかーかーかー」。これは八丈島の方言です。標準語で表現すると「もう、弁当箱は乾いたか
」…。
日本語はおおまかに本土方言、琉球方言、そして八丈方言に分かれます。八丈方言は弥生系の言語がベ
ースであると考えられている現在の標準語とは大きく異なります。言語に詳しい千葉大学国際教育センター
の金田章宏教授は八丈方言について「奈良時代当時に関東周辺にいた人たちの縄文的な要素がいろいろ
な面で残っている言葉で、ほとんどそのまま受け継がれている非常に特殊な言語だ」としています。
八丈島の方言は地区によって発音が違います。例えば「お母さんの元へ」は「母が元へ」が変化して、三根
地区だと「ほーごーてい」、中之郷地区だと「ほあごあてぃー」、末吉地区だと「はーがーちー」です。これに青
ヶ島を加えて大きく4つに分類されます。
いま、この方言が消滅の危機にあります。八丈島の地元中学生は「(自分は)話しません。家でだれも使わ
ないので話すことはありません。家族は島出身だけどお客さんが来たときだけ方言です」と話します。
その大きな原因は八丈で生まれ育った先生がほとんどいないことで、1割にも上らないそうです。そして標
準語と違い、世代間で方言の会話が成立しないため使われなくなっているのです。これについて金田教授は
「今の70〜80代の人がいなくなれば、話す人はほとんどゼロに近くなるだろう。文化の多様性や言語の多様
性は非常に大事です。それがなくなるということは多様なものの見方やものに対する知識がなくなってしまう
」と危惧します。
(以下略)
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/200903028.html 依頼423