日本の「侵略戦争」を否定した論文を執筆して航空幕僚長を解任された田母神俊雄氏(60)が、
全国の講演で引っ張りだこになっている。2月の講演回数は計24回にもおよび、3月1日には米ロサンゼルス
在住の日本人に招かれ渡米する。一方、防衛省への配慮から講演を延期する団体も現れるなど、
“田母神人気”は言論タブーの存在も照らし出しているようだ。
「『核兵器を持たない方が安全』と言うのは、日本の政治家だけ」「東京裁判は復讐(ふくしゅう)劇だ」
「(植民地支配を謝罪した)村山談話を踏まえた幹部教育をしたら、自衛隊はつぶれる」
歯に衣着せぬ物言いに、会場から拍手が頻繁にわき起こる。建国記念の日の2月11日、東京都新宿区の
日本青年館で行われた田母神氏の講演会には、定員300人の会場に、立ち見でも入り切れないほどの
聴衆が詰めかけた。主催者によると、用意した700部のパンフレットはすべてなくなったという。
一方、防衛省のある外郭団体の幹部は「会員から田母神氏の話を聞きたいという声が多く、3月に講演を検討したが、
諸般の事情で延期した」と述べ、防衛省への配慮をにじませる。別の関係者は「田母神講演に防衛省から難色を示され、
『講師名を伝えなければよかったのに』という声も出た」と打ち明ける。
当の田母神氏は「日本が謝罪ばかりしていることに『何かおかしい』と感じていた多くの国民が、私の発言にストンと
心に落ちるものがあるのでは」とみている。また、「日本には反日的な言論の自由はあるが、親日的な言論の自由はない」とも述べ、
自身の更迭劇を通じて明るみに出た言論タブーを指摘している。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090228/plc0902282302005-n2.htm