2009/02/27 09:19
厚生労働省は26日までに、全国の不妊治療施設に対し、受精卵取り違えなどの事故を防ぐため、
複数の医師らが確認するダブルチェックの徹底や、倫理面などの検討をする委員会の設置を求める方針を決めた。
具体的には、治療費の公的助成の対象となる医療機関の指定要件に、それらの項目を追加。
基準を満たさない施設の指定取り消しも想定する。
近く、全国約600の指定医療機関を対象に、体外受精の実施手順など安全管理態勢を尋ねるアンケートを実施。
結果を基に、より詳細な追加要件を検討したうえで、4月にも要件を定めた指針を改正する。
公的助成は、厚労省指針に基づいて都道府県などが医療機関を指定し、そこで体外受精などを受けた患者に、
治療費の一部を支給する制度。現行指針には、採卵室など設備関連の基準と、責任者の資格など人員に関する基準しかなく、
安全管理態勢は要件に含まれていない。
香川県内の指定医療機関の一つで、受精卵取り違え問題が明らかになった県立中央病院では、
男性医師(61)が大半の培養作業を1人で行っていたことや、
受精卵を保存する容器(シャーレ)の識別方法に不備があったことなどが取り違えの原因とされている。
また、日本産科婦人科学会の倫理規定に違反し、昨年4月以降も複数の受精卵を移植する治療を続けていた。
同省はこうしたことから、ダブルチェック徹底など事故防止態勢の整備に加え、倫理面の検討をする倫理委員会、
事故の予防や事後対応を検討する医療安全委員会のような組織の設置を指定要件に明記することにした。
■不妊治療費の公的助成 医療保険が適用されない体外受精などの不妊治療を受ける夫婦の経済的負担を軽減するため、
国の少子化対策の一環として2004年度に始まった制度。所得730万円未満の夫婦を対象に、
1回の治療につき上限10万円を年2回まで、通算5年間支給する。
厚生労働省が定める指定要件に従い、都道府県や政令指定都市が助成対象の医療機関を指定する。
07年度までの支給件数は計約13万5000件。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/administration/article.aspx?id=20090227000088 依頼339