浜松市浜北区宮口でミカンやナシなどを栽培する「スズキ果物農園」
(鈴木幸隆さん経営)に、生き生きと農作業にいそしむ若い母親たち6人の姿がある。
いずれも農業は素人ながら、幼い子どもを育てながらミカンを収穫したり、
肥料をつくったり。農園を明るくもり立てている。 (出来田敬司)
黒い作業着に身を包んだ女性たちがナシ畑を走り回る。刷毛(はけ)を持った女性は切った木に除菌剤を塗り、
剪定(せんてい)ばさみを手にした女性は枝を同じ長さに切り、束ねていく。時折会話がこぼれ、農園は華やいだ雰囲気に包まれる。
この農園が女性たちをパート雇用の形で迎え入れたのは3年前。
鈴木さんは家族3人で運営していたが、ミカンを収穫する農繁期は人手が必要。
そこで近くの幼稚園の役員を通じ手伝いの依頼をしたところ当時、同じ幼稚園に子どもを通わせていたママさんたちが集まった。
母親たちは現在、30歳から37歳でいずれも農園近くに住む。
それぞれ幼稚園児から小学生の子どもを抱え、子育てと農作業を両立させながらの毎日だ。
農作業に携わるのは午前9時から午後1時半ごろまで。「子どもが幼稚園から帰る
時間には家にいられるのがいい」と松下順子さん(34)=同区宮口=は笑顔を見せる。
多くの母親たちはこれまで農作業の経験がほとんどない。農園で汗を流す
望月康代さん(34)=同=は「体力的にはつらいけど、時期によってする作業が違うのが面白い」。
松下さんも「肥料をつくったり受粉作業をしたりして、少しずつ果物ができてくるのが楽しい」と、新鮮にとらえている。
母親たちの家族を招いて、バーベキューや流しそうめんなどを楽しんだり、
豆腐やこんにゃくを一緒に作ったりするなど、“職場”は家族的な雰囲気が特徴だ。
鈴木さんは「お母さんたちは農作業を手伝ってくれると同時に、
一番早く食してくれる消費者でもある。出来栄えを判断してもらうこともあって、
とても助かっています」と話し、人手不足解消にとどまらない収穫を感じているようだ。
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