犬猫の殺処分 「引き渡し先を探してくれるんでしょ」と安易に捨てに来る人も

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1 すずめちゃん(関西地方)

今月6日、秋田市の県動物管理センターで、県内で保護された犬18匹と猫18匹の殺処分の現場に立ち会った。
中には、やつれた体で6匹の子犬に授乳していた母犬もいた。前日まで職員が譲渡先を探したが、見つからなかった。

午前10時過ぎ、操作室で職員がボタンを押すと犬舎の壁が少しずつ動き出した。
さっきまで吠え続けていた犬たちは一斉に鳴きやみ、小さなハコの中に追い込まれていく。
「耐えられる?」と加沢敏明所長が心配して声をかけてくれた。
「ペットとして飼われていたこの子たちの最期を看取(みと)る責任が人間にはある」。加沢さんの言葉を支えにした。
炭酸ガスが送り込まれ、約20秒で犬たちは意識を失い始め、約50秒後、
最後の秋田犬が天を仰ぐように首を持ち上げて、倒れ込んだ。

別室では、あの母犬と子犬たちが麻酔注射による処置を受けていた。成犬は通常、ガスで処分されるが、
最期は母子でとの職員の精いっぱいのやさしさだった。導入麻酔で意識がもうろうとした母犬を職員がやさしくなでる。
親子を隔てていた壁を取り去ると、母犬はふらふらしながら子犬たちに寄り添い、2度目の麻酔で母子は眠るように逝った。
昨年度、県内で処分された犬は620匹、猫はその倍以上の1314匹。犬は10年前と比べ5分の1に減った。
センターでは、一匹でも多くの命を救おうと譲渡事業に力を入れているが、活動が知られるに従い、
「引き渡し先を探してくれるんでしょ」と安易に捨てに来る人も出てきた。

しかし、職員は「ここは処分施設」と毅然(きぜん)とした態度で伝えるという。譲渡対象となるのは、
攻撃性がないなど厳しい検査と通り抜けたごく一部の犬猫だけ。成犬や猫のもらい手はほとんどいないのが現実だ。
「飼う前に家族で、この子と長くつきあっていくことを十分話し合ってほしい。
命と向き合う意味を良く考えて」と加沢さんは言う。

家に帰り、愛猫をいつもより強くほおずりせずにはいられなかった。(一條裕二)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20090219-OYT8T00068.htm?from=os2
今月6日、この母犬と子犬6匹は天国へと旅立った(県動物管理センターで)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20090219-297377-1-N.jpg