雪害による犠牲者ゼロのための地域の防災力向上を目指す検討会(座長・大西隆東京大大学院教授)を設置する
内閣府と国土交通省は15日、尾花沢市宮沢地区で安全な雪下ろし実証実験を行った。国、県、市と地元住民ら
約70人が参加し、一人暮らし高齢者宅で軒下に積もった雪の一斉除排雪、屋根に上っての雪下ろし実践、
意見交換会も開いた。検討会はこの日の結果などを基に3月中に対応策を取りまとめる。
内閣府と国交省が全国の有識者11人による検討会を設置したのは2008年9月。過去10年間で死者数が風水害に
次いで第2位という雪害を重視し、07年度の死者と重傷者の事例を聞き取り、対策を論議している。これまで2回の
会議で事故防止情報の提供、救急救命、機器の活用、地域の共助といった対策項目が挙げられ、
この冬には新潟県や秋田県での実証実験を重ねている。
5カ所目で最後の実証実験となる尾花沢市宮沢地区は、地域住民が協力し合う除排雪作業が以前から行われ、
県が昨年度に制作したDVD「安全な雪下ろし作業」でも住民がモデル役を務めた。この日は中島(59世帯)と
行沢(44世帯)の2集落が会場。内閣府と国交省の担当者や県、市の関係者が見守る中で、民家の一斉除排雪、
1階屋根の雪下ろし作業が繰り広げられた。
積雪3メートルを超す年もあるという豪雪地帯の両集落だが、この日の積雪は1メートル以下。好天にも恵まれ、
順調に作業日程をこなした後は行沢公民館で意見交換を行った。大村敦国交省地方課長補佐は「地域を挙げて協力し
合う宮沢地区は全国に発信したい好例。きょうの成果を踏まえてしっかりと報告をまとめたい」と感想を話していた。
http://yamagata-np.jp/news/200902/15/kj_2009021500254.php