山岳遭難過去最多 昨年の富山県内、山小屋で講習導入
昨年県内で起きた山岳遭難は、件数で百三十三件、遭難者数が百五十九人といずれも過去最多となったことが、
三十一日までの県警のまとめで分かった。中高年の登山ブームの影響で、遭難者の半数以上を四十歳以上が占めた。
今後もブームは続き遭難の増加が懸念されるため、県警山岳警備隊は今春から室堂、剱沢周辺の山小屋で講習会を開き、
登山客に事故防止を呼び掛ける。ベテラン隊員を講師に充て、危険個所や事故の典型例を分かりやすく具体的に説明する。
県警によると、遭難件数は平成十四年の百十八件、遭難者数は十九年の百三十八人がこれまでで最も多かったが、
昨年は件数、人数ともに上回り過去最多となった。
昨年は、四十歳以上の遭難者が百二十八人で前年より二十一人増加し、遭難者の約80パーセントを占めた。県警は
「登山人気に陰りはなく、今後も中高年の遭難は増える恐れがある」とみる。
昨年は、春、夏、秋の各シーズンで遭難者数が増加。遭難が発生した場所は、室堂一帯などの散策コースや雄山、
剱岳などの登山コースなど広範囲にわたる。
県警は、事故形態や発生場所などを総合的に分析した結果、それぞれの時期に合った具体的な注意喚起が、遭難防止
につながると判断。今春から室堂、剱沢の各警備派出所で勤務する山岳警備隊員を講師とする講習会を山小屋で開き、
宿泊している登山客にアドバイスする防止策を導入することにした。
同隊によると、講習では装備の不十分さや無理なコース選択などの遭難原因について細かく説明し、近年の遭難事例を紹介。
登山計画を家族に知らせるよう求めるほか、隊員が普段のパトロールで気付いた危険個所や注意点を説明する。同隊の高瀬
隊長は「五年以上の勤務を経験したベテラン隊員を講師に起用し、経験に基づき的確な助言ができるよう準備したい」と話す。
同隊は、二月十三日に隊員を集めた会議で、講習会の内容を打ち合わせる。
http://www.kitanippon.co.jp/contents/knpnews/20090201/19090.html