「自己都合」強制 企業に有利な解雇増加
2009年1月30日 10時47分
人員整理や強要など、会社側の都合で退職したにもかかわらず、会社が労働者に原因をかぶせて
「自己都合」にしてしまうケースが目立つ。解雇が多いと、新たに労働者を雇う際に国の助成金がもらえないと
いう企業の論理が見え隠れする。労働者は自己都合にされると失業手当支給が先延ばしに。それだけに
「会社の不当行為を許さない国の対策が必要」と指摘されている。
東京都内の教育関連会社で編集業務をしていた女性(42)は昨年6月、営業への部署替えと賃金の
大幅カットを提示され、社長から「嫌なら退職するように」と言われ、悩んだ末に退職した。
ただ、残業代のことで納得がいかず、1人でも加入できる労働組合に相談したところ、退職理由が自己都合に
なっているのはおかしいと指摘された。交渉の末、会社は理由を会社都合に変更、残業代の訴えも聞き入れた。
倒産や解雇など会社都合の場合、退職8日目から失業手当がもらえるが、自己都合だと3カ月間待たねば
ならない。希望退職の募集や退職の強要、セクハラなども会社都合だが、立証が難しいと泣き寝入りする
例もある。
事務機器メーカーで働いていた派遣社員の男性(38)は昨年9月、雇い止めに。同時に派遣会社も
解雇された。離職票には、退職は自己都合だと記され、ハローワークに異議を申し立てたが認められなかった。
失業手当受給までの3カ月の生活は預金を取り崩してももたない。男性は手当をあきらめて別の派遣会社に
登録、事務の仕事に就いた。
「失業手当があれば、じっくり仕事を探せた。一番苦しい時期に受給できないなんて」と憤る。派遣ユニオンに
よると「会社都合を自己都合とされるトラブルは、雇用保険に関して寄せられる相談の半分以上」という。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009013090104117.html