生涯初のスランプに陥った07年後半の不調をやや引きずった感のあるシーズン前半だったが、
後半徐々に調子を上げ、最後は“完全復活間近”を思わせたのが、宮里藍の08年だった。
スランプの原因は1つではないが、アメリカに渡りさまざまなことに挑戦しているうち、自分のスイングを見失ったことが大きな要因。
小さい頃から何も考えずに体を動かしてきたのが、失敗体験を積み、色々考えるうち、本来持っている感性やテンポを失った。
そのため、ショットが曲がり出し、曲げるのが恐くて体が思うように動かなくなったのだ。
そこで08年シーズンが開幕する直前、宮里はアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)を育てたことでも知られる
メンタルコーチ、ピア・ニールソン女史とリン・マリオット女史のもとを訪ね、感性を取り戻す練習に打ち込んだ。
その結果「精神的には3年目で一番良い状態」で開幕を迎えたが、序盤はやはり調子が出ず、ハワイでの開幕2連戦は連続予選落ち。
3戦目でようやく18位タイに入ったが、6月のマクドナルドLPGA選手権までの12試合で、ベスト10入りは遂に1度も果たせなかった。
「このままでは全英女子オープンに出られないかもしれない」という危機感を抱いて臨んだ後半戦。
ウェグマンズLGPAで6位タイとシーズン初のトップ10入りを果たした。2週間後のP&G ビューティー・NWアーカンソー選手権で4位タイに食い込み、
一気に復調の兆しを見せ始めた。さらに04年にメジャー初参戦したときにプレーしたサニングデールを舞台に行われた全英で、最後まで優勝争いに絡み単独5位に入る健闘を見せた。
それ以降は「調子の良さが空回りして」上位に食い込めなかった。
しかし、帰国して出場した国内ツアー5試合で2度2位(タイを含む)、4試合でベスト10入りを果たし06年以来の優勝も近いことを感じさせた。
09年はスランプの副産物としてさらに強くなったメンタルと100ヤード以内のショットの精度を武器に、日米両ツアーで優勝を狙う宮里。
だが本人は「自分にプレッシャーをかけることはしたくない」と冷静に語る。「欲張らず、自分のゴルフに徹した」結果として、優勝に手が届けば、それが一番良いのだろう。
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