フランスの国民議会(下院)で16日にも「日曜開店法案」の審議が開始される。
「もっと働き、もっと稼ごう」というサルコジ大統領の選挙公約の一環で、これまで「日曜は安息日」と
いうキリスト教の伝統により一部を除いて閉店していたデパートなどが店を開くことで従業員の給与
アップを目指すのが狙いだ。しかし、野党や労働組合、教会に加えて、与党の国民運動連合(UMP)の
中にも反対者がおり、審議は難航しそうだ。
現在の労働基準法では「1週間のうち6日が就労日。休日は日曜」と規定されている。ただ公共
交通機関をはじめ飲食店、報道機関などの例外措置が約180部門あり、約740万人が日曜にも
就労している。市長や県知事が許可する一時的例外措置もあり、デパートなどが年末や夏のバーゲ
ンセールの季節に例外的に日曜に開店するのも、この措置による。
ほかにも人口100万人以上の大都市や観光地などへの特例措置もあるが、休日出勤の過勤手当の
問題などがあり、「日曜閉店」の原則はかなり忠実に守られてきた。このため定休日のデパートや有名
ブティックの前で海外からの観光客が戸惑う姿も珍しくなかった。
大統領は選挙期間中、「もっと働き、もっと稼ごう」を標榜(ひょうぼう)、日曜開店を公約していた。
この趣旨に沿って法案を提案したUMPは「消費者尊重の時代に即した法案だ」と擁護しているが、
野党は家族サービスなどの「家族の利益」を掲げて「猛攻撃」(オブリ社会党第1書記)の構えだ。
労組は「賃金を上げれば日曜まで働く必要はない」と主張、教会や一部UMP議員も「キリスト教
文化への挑戦」として反対している。
UMP議員の反対者は約50人の多数に上るため、大統領は15日午後、エリゼ宮(仏大統領府)に
数人の代表者を呼んで説得に当たったが、社会党は審議直前の大統領の行動に強く反発している。
フランス通信(AFP)が16日、報じたところでは、反対議員も大統領提案の妥協案に合意したとされ
るが、修正案はすでに約4000も出されており、審議が長引くのは必至。大統領は年末採決を期待し
ていたと伝えられるが、早くても来年1月になりそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/081216/erp0812161853003-n1.htm