「杉葉線香」忘れないで 熊野「水車小屋」来年取り壊し
杉葉線香を作っていた水車小屋を訪ねるイベント「杉葉の道と線香車を訪ねる」が七日、
熊野市新鹿町周辺で開かれた。
杉葉線香は、杉の葉をすりつぶした粉で作った線香。東紀州の豊富な水資源を生かした水車の動力で、
江戸から大正時代にかけて生産されていた。イベントは消えゆく伝統産業を伝えようと尾鷲市向井の
熊野古道センターが企画し、県内から九人が参加した。
一行はまず、原料の杉葉を運んだ八丁坂峠を散策。その後、一九六八年まで実際に使われた小屋を見学した。
直径五・五メートルの大水車や杉葉をすりつぶした臼ときねを前にして、当時の職人の姿に思いをはせた。
小屋は高速道路建設のために来年の取り壊しが決定している。小屋の管理人を務める
山本義之さん(60)は「幼少時代に杉葉を干す作業をよく手伝った。小屋が無くなっても
杉葉線香という林産業があったことを忘れないでほしい」と話した。
同センターは企画展のほか、毎週土日曜日に杉葉線香づくり体験教室を開いている。
問い合わせは同センター=電0597(25)2666=へ。
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20081209/CK2008120902000031.html