続き
残りの2センターも東邦大学医療センター大森病院(204件、大田区)が「おおむねNICU満床による」、日本赤十字社医療セン
ター(177件、渋谷区)も「病床(NICUおよびMFICU)が満床の場合がほとんど」とコメント。合わせると妊婦搬送を受け入
れられなかった事例の9割近くが、NICU不足によるものだったとみられる。
ある総合周産期センターの責任者は毎日新聞の取材に「子どもが生まれそうな妊婦の搬送要請があった場合、母親のベッドは空いてい
てもNICUに空きがなければ普通は受け入れない。無理して受け入れても未熟児が生まれ、万一亡くなるような事態になれば、遺族か
ら『なぜ受け入れたんだ』と訴えられることもありうる。だったら最初から受け入れない方がいい、ということになってしまう」と打ち
明ける。
都内のNICUが満床に近い状態が続いているのには、複数の事情もからんでいる。都周産期医療協議会(会長・岡井崇昭和大医学部
教授)が3月にまとめた報告書によると、NICUが不可欠な極低出生体重児(1500グラム未満)は過去10年間で約1・3倍に増
加。重い障害があって退院の見通しが立たない子も少なくない。
また、NICUの整備にはベッドだけでなく、小児科医や看護師の配置も義務づけられているが、深刻な医師不足・看護師不足から整
備が思うように進んでいない。都内には200床以上のNICUがあるものの、入院児のほぼ4分の1は他県に住所があるという。【須山勉】
==============
■ことば
◇NICU(新生児集中治療管理室)
24時間体制で集中治療が必要な未熟児などに対応する保育器や人工呼吸器などを備えた場所。都内には計219床(今年4月現在)ある。
〔都内版〕
毎日新聞 2008年12月6日 地方版
ソースは毎日
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20081206ddlk13040331000c.html