<日経>◇米年末商戦の薄型TV、日本勢が値引き攻勢 業績下振れリスクも
【ニューヨーク=小高航】先週末に最初のピークを迎えた米年末商戦で、日本の電機大手が薄型テレビの大幅値引きに
踏み切った。平均で2―3割、モデルによっては700ドル(約6万5000円)の値引きもあり、800ドル台の50型プラズマテレビも
登場した。大胆な値引きで商戦は順調な滑り出しを見せたが、後半には客足が鈍る懸念もある。価格競争がさらに激化すれば、
各社の業績の下振れリスクが強まりそうだ。
多くの店が黒字に転換するため「ブラックフライデー」と呼ばれる11月最後の金曜日。家電量販店では韓国メーカーなどと
比べても日本勢の値引き攻勢が目立った。
シャープはブラックフライデー専用の特売品として液晶テレビ4モデルを用意した。高画質なフルハイビジョンで42型の価格は
799ドルと、日本の販売価格のほぼ半値に設定した。米法人のブルース・トリピード副社長は「(週末3日間で)10万台以上を
販売できた」と手応えを語る。ある量販店ではソニーの薄型テレビに「700ドル引き」の値札がついた。
大胆な値引きが奏功し、年末商戦の滑り出しは好調だ。東芝は「金額ベースで前年を2―3%上回り、予想以上」(幹部)。
パナソニック(旧松下電器産業)は家電量販店ベストバイ向けに店頭価格899ドルの50型プラズマテレビを投入。1万数千台をほぼ完売したという。
全米小売業協会(NRF)によると、先週末の買い物客数は昨年の同時期に比べ17%増の1億7200万人、平均消費額も7%増
の372ドルと予想を大幅に上回った。例年以上の安売りによる集客効果と、景気低迷下で消費者が年末商戦まで買い控えて
いたことが背景にある。
一方、韓国サムスン電子の46型液晶テレビは1099.99ドル(約10万円)。値下げ幅は500ドルにとどまり、ウォン安で値下げしやすい
環境にもかかわらず、下げ幅は日本勢に及ばない。これまで米ビジオなど新興企業や韓国勢が値下げ競争を先導する構図だったが、
今年は在庫圧縮などを狙った日本メーカーが引っ張っているといえる。
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日経新聞朝刊より