インド西部グジャラート州の石油化学コンビナートにハヌマンラングールと呼ばれるサルの群れが入り込み、関係者を大いに悩ませている。ハヌマンラングールの数は250−300匹にのぼるとみられ、ムンバイから招かれた専門家3人が捕獲作業にあたっているという。
“サル騒動”が発生しているのは同州バローダラー(バローダ)にある、エネルギー・化学大手リライアンス・
インダストリーズ傘下「インド石油化学公社」の石油化学コンビナート。約5.1平方キロメートルの広大な
敷地内にはナフサ(粗製ガソリン)の分解装置のほか、ポリマーや繊維、化学薬品などの生産プラントが15基ある。
ハヌマンラングールはオナガザル科に属する。さまざまな環境に適応し、地上や樹上での機敏な動きが特徴。
コンビナートでも、パイプラインなど各所で身軽に動きまわっているという。
コンビナートではアクリロニトリルやベンゼンのように反応性、引火性の観点から取り扱いに注意を要する
石油化学製品を扱っていることから、リライアンス社の関係者は事故の危険性を懸念。
ハヌマンラングールを早急に捕獲すべく地元の森林当局に援助を要請した。しかし当局の人手不足もあり、
最終的に“サル捕獲”の専門家を招くことになったという。
古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」に登場する神にちなんだ名を持ち、インドでは“聖なるサル”として
保護されているハヌマンラングール。しかし今回の緊急事態に際し、森林当局は専門家による捕獲を特別に許可している。
専門家たちは要所にケージを設置し、全力で捕獲作業にあたっているという。関係者は「
今後15日以内に、すべてのサルが捕獲されるはず」と期待を込めて語っている。
捕獲されたハヌマンラングールはケージごとバローダラー東部ジャンブゴダの保護区に移送され、
そこで放される予定だという。
http://www.web-tab.jp/article/4998/