2008年11月6日 朝刊
岐阜大医学部は、末期の肝臓がんを凍らせて壊死(えし)させる新しい治療法開発に着手した。
これまでの臨床で一定の効果がみられたため、保険診療が一部可能となる高度医療評価制度の認定を求めて
今月中にも厚生労働省に申請。治療法の早期確立を目指す。
この治療法は、先端だけ熱を通す直径3ミリほどの針を腹部から肝臓内のがん組織に刺し、
マイナス196度の液体窒素を送り込んで局所的に凍結させる。治療は週1回、15分間の冷却を5分の間を置いて3回繰り返し、
がん細胞を破壊する。
腫瘍(しゅよう)外科研究室の長田(おさだ)真二准教授(45)が中心に研究し、2002年から昨年6月ごろまで13人の
患者でデータを収集。治療開始2カ月後では、6人でがんに対する免疫機能が活性化し、肝臓内の凍結させなかった部分や
リンパ節や腹膜へ転移していたがんも縮小した。残り7人はがんに対する免疫は変化せず、凍結した部分でがん細胞が消えただけだった。
末期がん治療ではがん細胞を熱で焼く方法が知られているが、長田准教授は「細胞を焼くとがん細胞内のタンパク質が変性して
免疫細胞が正しく反応できない。凍結する方法ではこのタンパク質が変性せず、免疫機能が活発になるのでは」と推察する。
今後、マウスなどの動物実験でも詳しいメカニズムを解明する方針。長田准教授は「これまでは保険診療と併用できず、
研究のための症例数に予算的限界があった。申請が認められれば、多くの患者さんに治療を受けてもらえる」と話した。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008110602000054.html 依頼870