NASAは30日、極限環境のために機能ダウンに陥った火星探査機「フェニックス」との通信が19時間ぶりに回復したことを発表した。
「フェニックス」は28日、日照不足によるソーラーパネルの発電量が著しく減少したこと、
更に、最低気温が摂氏マイナス96度にまで低下したことなどによる外部環境要因により、
メインコンピューターがダウンし、必要最低限の機能しか維持できなくなるセーフモードに移行。
それに伴い地球管制への通信も途絶していた。
今のところ「フェニックス」のバッテリーの再充電で完了したことを受けて、
「フェニックス」の自動再起動機能「ラザロモード(Lazarus mode)」が発動し、
電力不足によりダウンしていた機器の自動再起動が実施されたことが、19時間ぶりに「フェニックス」が地球との交信を再開した原因と見られている。
「フェニックス」で「ラザロモード」が発動したのは今回が初めてともなる。
ただし、「フェニックス」がダウンする直前にはこれまで記録された最低気温となる、
周辺温度が摂氏マイナス96度にまで低下。着陸地点は冬のシーズン入りをし、
北極圏という関係上、昼でも日照条件は非常に限られる状況となっていること、
更に、今月に入ってからは強風が発生し砂嵐や降雪が観測されるなど、
科学観測機器が維持できる状況としては極限に近い状況下に陥っていることもあり、
NASAでは「フェニックス」が稼動状態を続けられるのはあと数週間とみている。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200810311915