農林水産省は31日、中国産タケノコを使った加工品を「鹿児島県産」などと偽って販売したとして、阿久根市の「上野食品」(上野光二社長)に日本農林規格(JAS)法に基づく是正指示を出した。偽装された加工品は県内外の量販店など142社に販売していたという。
同日夕に記者会見した餅越勝志専務は「仕入れが少ない中で注文を多数受けていたため、中国産を混ぜてしまった。農家に迷惑をかけ、非常に申し訳ない」と謝罪し、病気療養中の上野社長とともに退任する意向を示した。
農水省などによると、上野食品は2006年10月から08年5月にかけ、国産と中国産のタケノコを混ぜて商品を製造しながら、原料原産地を「国産」「鹿児島県産」などと偽装表示していた。中国産使用量は販売総量(2630トン)の48%にあたる1264トンだった。
「たけのこ水煮透明パウチ品」(上野食品パンフレットより)
偽装品は「鹿児島県産たけのこ水煮」「たけのこ水煮缶」など316商品で、これまでに768万個(パック品752万個、缶入り16万個)を販売。偽装によって売上高は約3億8000万円増えたという。
3月末に農水省の「食品表示110番」へ情報提供があり、鹿児島農政事務所などが計13回の立ち入り調査をして偽装を確認した。農水省は(1)全商品の表示点検(2)原因究明・分析(3)再発防止策の実施−を指示、12月1日までに結果を報告するよう求めている。
上野食品は1963年に創業。主に山菜加工品の製造を手がけており、タケノコの缶詰では全国一のシェアを持つ。08年2月期の売上高は15億3700万円余り。
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