会計検査院が無作為に調査対象とした全国12道府県で、国の補助金が使われる事業を調べたところ、すべての
道府県で不正な経理が見つかった。
計約5億円に上り、このうち愛知、岩手県など約半数の自治体で取引業者に物品を架空発注する裏金作りが判明した。
両県で架空取引による裏金が発覚するのは初めて。
11月上旬に麻生首相に提出する2007年度の決算検査報告書で指摘する。検査院は氷山の一角との疑いを深めて
おり、今後、残るすべての都府県についても調査する方針。
不正経理が判明したのは、北海道、京都府、青森、岩手、福島、栃木、群馬、長野、愛知、岐阜、和歌山、大分の各県。
調査対象になったのは、国土交通省や農林水産省などから補助金が出ている事業。過去に発覚した裏金問題では、
長崎県などで事務用品を購入したと偽って業者に公金を渡し、資金をプールする「預け」と呼ばれる手口が判明。検査院はこれに着目し、
02〜06年度の帳簿や領収証について事務費を中心に調べた結果、12道府県の約半数で「預け」が見つかった。
このほか、雇用したアルバイトを他部署でヤミ使用したり、県単独事業なのに国の補助事業から出張費が捻出
(ねんしゅつ)されたり、不正な流用も次々に発覚した。12自治体すべてで見つかっており、不正額は計約5億円に上った。
検査院は全額を国に返還するよう求める。
検査院関係者によると、不正額がもっとも多かったのは愛知の1億数千万円。次いで岩手の約1億円。他の道府県ではそれぞれ数千万円の不正が確認された。
愛知、岩手両県で全体の半額を占める。架空請求で捻出した裏金を業者に管理させる「預け」も、愛知、岩手が突出していたという。
使途は特定されていないが、過去の裏金問題では、職員の飲み食いなど懇親費や慶弔費に使われていたことが明るみに出ている。
今回、検査院が調査した事業は、国の補助が入るものに限られる。自治体の総予算の一部に過ぎず、12道府県は今後、それぞれ内部調査を迫られそうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081017-OYT1T00858.htm?from=navr