顔の筋肉を鍛える医療器具を口にくわえることで、高齢者の身体機能が改善することが、
養護老人ホーム入所者を対象とした研究で分かった。17人中7人は要介護度が改善し、
それ以外の人も、日中おむつが取れる、毎日使っていた座薬が不要になるなど、全員に明らかな
効果がみられた。
研究を行った宮守歯科診療所(岩手県遠野市)の深沢範子所長は「通常は加齢もあり、介護度が
改善することは考えられない。予想外の効果だ」と話している。
この器具は特殊なポリエステル製で、歯茎と唇の間に挟むようにくわえ、表情筋を鍛える。摂食機能の
改善などに用いられる。深沢所長らは遠野市の養護老人ホーム「吉祥園」の協力を得て、昨年7月
以降17人の入所者に、口にくわえて3分間維持するトレーニングを1日3回してもらった。
このうち、ほとんど介護を必要としない入所者らを除く10人について、先月、第三者機関に要介護度
判定を依頼したところ、7人が改善していた。
要介護度4だった68歳男性は、ゆっくり歩ける程度から走れるようになり、要支援1に。85歳女性は、
夜間の失禁が減少、自分で動かせなかった車いすを自在に操るようになり、要介護度3から2に改善した。
施設全体でもトレーニング開始後は、風邪や肺炎による入院がほとんどなくなるという効果があった。
器具を開発した歯学博士秋広良昭氏によると、このトレーニングで右側前頭葉の脳血流が増加することが
分かっており、脳が活性化して身体機能が改善すると考えられるという。
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