インド人歌手チャダ、29年ぶり再デビュー 今度こそ『演歌の道』一筋
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2008101102000103.html http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/images/PK2008101102100021_size0.jpg 自分が本当にやりたいと思ったことを生涯貫けるほど幸せなことはない。
一度はあきらめた道を、長い歳月の経過の後に再び歩み始めることができる人も幸福感に
満たされることだろう。本名サラブジット・シング・チャダ、五十六歳。日本演歌界に
確かな足跡を残して引退、このほど二十九年ぶりに歌手へのカムバックを決意した
インド人・チャダも、そんな幸せをかみしめようとしている。 (安田信博)
一九七三年に日本テレビで始まった「金曜10時!うわさのチャンネル!!」。
寸劇から芸能界裏話まで扱った、ナンセンスバラエティーとして人気を博した番組で
和田アキ子が“ゴッド姉ちゃん”として存在感を示し、覆面のプロレスラー
ザ・デストロイヤーがコメディアンに“変身”したことでも知られる。
このユニークな番組に、「流ちょうな日本語を話す変な外国人」として一年間レギュラー
出演した。一八五センチの長身。「いつもぶっつけ本番の生収録。デストロイヤーに体を
抱えて放り投げられ、右腕を骨折しました。ギプスをはめてレコーディングした記憶がありますよ」と
懐かしそうに振り返る。
番組出演には所属事務所の狙いがあった。ターバン姿、ひげ面でいきなり演歌では違和感が
強すぎるため、茶の間に顔を売ってからデビューさせようとの戦略だった。
「それで無理やりコメディアンにされちゃったんです(笑)。でも、おかげでキャンペーン先では
どこへいっても、“ああ、チャダだ”と声をかけてくれました」
七五年のデビュー曲「面影の女」(猪俣公章作曲)は、作詞・山口洋子。伸びやかで迫力ある
歌声をテープで聞いて「ヒマラヤ演歌ね。演歌の星になりなさい」と作詞を買って出た。
新曲は十万枚を超すヒットとなり、細川たかし、岩崎宏美、片平なぎさらと並んで各種歌謡祭の
新人賞候補に軒並みノミネート。「インド人演歌歌手・チャダ」が最も光り輝いた瞬間だった。