コンクリートを完全再利用、強度も向上 東大が新技術
2008年9月23日14時7分
コンクリートを鉄やアルミのように完全再利用できるようにして、強度もアップ――。
こんな次世代技術を東京大グループが開発、広島県東広島市であった日本建築学会で発表した。
コンクリートに含まれる砂利などの「骨材」をセメントと分離し、9割以上を回収できたという。
コンクリートはセメント、骨材を水と混ぜ合わせてつくる。国内では建設現場で年間約5億トンが
消費されているが、古くなった塊から骨材をきれいに取り出すことが難しいため、再利用はおもに
道路の路盤材に限られている。
東京大工学系研究科の野口貴文・准教授らは、電子レンジで使われるマイクロ波による加熱に着目した。
骨材の表面にあらかじめ酸化鉄を吹き付けておき、酸化鉄がマイクロ波で加熱されれば、
周囲のセメントからはがれやすくなると考えた。
酸化鉄を吹き付けた骨材で「再利用コンクリート」の塊を試作。マイクロ波で加熱後に砕くと、
セメントがきれいにはがれ、骨材が容易に回収できた。酸化鉄に加えてシリコンやコンクリートの
微粉末を吹き付けると、コンクリートの強度が従来より1.25倍高まることも確かめた。
今後は大手建設会社と協力して、この技術の実用化に向けた研究を進める。
野口さんは「新たに使える骨材の原料には限りがある。リサイクル技術が確立すれば、
環境対策につながる」と話す。(高山裕喜)
http://www.asahi.com/science/update/0922/TKY200809220295.html