磯の香自慢 アオサ焼酎
●「熊野灘の新名物に」●
町内の旅館経営者や鮮魚店主、ミカン農家など約20人が集まって「地酒の会」をつくり、
06年春から3年計画で開発を始めた。
同会事務局の農業中村具寿次(くすじ)さん(59)は「私らは『うまい酒を造り、自分たちで飲みたい』と
集まったグループ。メンバーで酒を飲まないのは1人だけ」と笑う。同会は、98年にも町内の米と地下水で
仕込んだ日本酒「愛洲(あいす)」を手がけた。戦国時代まで伊勢にいた豪族の名を冠したが、
売れ行きは伸び悩んだ苦い経験がある。「本当にうまい酒だったが、広くアピールする独自性がなかった」という
反省を踏まえ、「若い人にも人気のある焼酎で、全国初の商品をつくりたかった」と意気込む。
そこで焼酎の原料として、町内で年約40トン収穫されるアオサの中でも、香りや色が良いとされる
年始に収穫した最高級品を使うことに決めた。同会が調べた限り、アオサ焼酎は全国でも例がないという。
県工業研究所に依頼してアオサエキスを抽出し、米焼酎をベースにエキスの配合率を工夫しながら
試作を重ねた。配合率が高すぎると海藻の香りがきつすぎ、低すぎるとアオサ独特の風味が感じられない。
何度もメンバーで試飲を繰り返し、配合率を1%に決めた。
できあがった焼酎は無色透明で、飲むとかすかに海藻の香りがする。中村さんは
「味が独特になりすぎず、幅広い層に受け入れられる味わいを目指した。地元の名物として長く飲み続けてもらいたい」と狙いを話す。
ボトルのラベルの裏には、熊野灘でのアオサ養殖の風景が写真で印刷されている。
商品名の公募には全国から約1千件の応募があるなど、発売前から反響は上々だという。
720ミリリットル、1260円。14日に町内で一般向けに初めての試飲会を開催。11月1日から発売する予定だ。
インターネット販売も計画している。
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