東京都荒川区と豊島区が身体障害者らに交付している「福祉タクシー券」が、
都内の金券ショップで相次いで安売りされていたことが分かった。福祉タクシ
ー券は、本人の使用が前提。二十三区の各担当部署は連絡を取り合い、不正防
止策の徹底に乗り出した。
両区の券は、それぞれ数冊が金券ショップに並んでいた。荒川区のケースは、
六月に発覚。一万二百円分のタクシー券一冊が、七千百四十円で売られていた。
豊島区のケースは八月に発覚した。
いずれも新宿区に事務所を構える団体代表の男性が見つけ、両区に情報を寄
せた。
荒川区の券は通し番号がないため、誰が横流ししたかは分からなかった。
このため、同区は今回の横流し発覚を受けて、所有者を特定できるよう、券
に番号を付けた。さらに、利用者やタクシー事業者に適正な使用を求める文書
を送った。
同区は、二〇○四年度から一時、記名方式にしたが、利用者から「障害者に
は記名が困難」などの苦情があったため、○六年度に無記名に戻していた。
豊島区の場合は、通し番号が入っており、売られていた券を交付された人は
特定できたという。
区は、不正換金した障害者の受給資格を取り消したかどうかなど、詳細につ
いて明らかにしていない。
福祉タクシー券をめぐっては、〇三年にも板橋区で不正換金が発覚。五人が
受給資格を取り消された。
荒川区の小林清美障害者福祉課長は「福祉タクシー券は、本当に必要な人を
対象にしている、必要な施策。利用者のためにも、不正使用防止に取り組んで
いく」と話した。
区に情報提供した男性は「売りに出されるということは、福祉タクシー券の
制度が福祉のニーズに合っていない部分もあるのでは」と指摘している。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008090890070911.html 【依頼66】