「手話カフェ」盛況 遠方から来て長話 神戸
聴覚障害者らが手話で交流できる、神戸市灘区の「手話カフェ」が今月でオープン二周年を迎えた。
多いときで百人以上でにぎわい、遠方からの人が二、三時間話し込むことも少なくないという。
一方で、盛況ぶりは聴覚障害者のコミュニケーションの場が限られている現状の裏返しともいえ、
運営団体は「情報交換の場でもあり、今後も継続したい」と話している。(武藤邦生)
手話カフェは「ひょうご聴障ネット」(神戸市中央区)が運営。同区の水道筋商店街にある
レンタル喫茶店を借り、毎月第三水曜日に開いている。聴覚障害者とその保護者のほか、
手話を勉強する人らが訪れる。
開店当初、来客は市内中心だったが、口コミやインターネットサイトなどで話題になり、
「人の輪を広げたい」と、大阪、京都、奈良からも訪れるようになった。
「予想もしていなかった」と同ネットの森井秀文事務局長。同様の取り組みは大阪などにも
あるが多くはなく、ニーズを掘り起こした格好だ。
来客の中で目立つのが、自立した若年層の聴覚障害者だ。
七月に訪れた芦屋市の二十代の女性もその一人。大卒後、医療関係の仕事に就いたが、
職場に手話を話せる人はいないという。コミュニケーションの面でもどかしさを感じていた。
「仕事の話は筆談などでできるけれど、それでは伝えられないこともある。手話で何でも
話せる機会は、なかなかないのが現実」とこぼす。「居場所を探している」として、
有給休暇を取って訪ねた。
森井さんは「カフェで話をすると、聴覚障害者同士のつながりがあまりないことに驚く。
社会的には自立している彼らでも、実際には気楽に話せる場が少ないのでは」とみている。
神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/news/kurashi/0001376290.shtml