理念なき「東京オリンピック招致」の醜い競争

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理念なき「東京オリンピック招致」の醜い競争

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 北京オリンピックの期間中、競技場外で“別の競争”が繰り広げられていた。

 IOC(国際オリンピック委員会)の1次選考で残されたシカゴ、東京、マドリード、リオデジャネイロの4都市にとって北京は、
 2016年オリンピック招致を競う重要な舞台であった。IOC理事会の1次選考(11項目について評価)で、東京は総合評価1位だった。
 それを受けて招致委員会会長の石原慎太郎・都知事は、記者会見で招致合戦への突入宣言をした。

「まだ、あまり跳び上がって喜ぶことではない。これから、複雑で醜い競争が始まる」

 北京は、その醜い競争の「第1ステージ」とされたのだ。ただ、IOCは、招致活動の過熱化を避けるために、あくまでも立候補各国の
 オリンピック委員会が管轄するホスピタリティーハウス内での活動しか認めなかった。
 他都市の集票活動については不明だが、東京の場合は、JOC(日本オリンピック委員会)が北京市内にある
 ホテル「ニューオータニ長富宮」に設けたホスピタリティーのための「ジャパンハウス」(2500平方メートル、総費用2億8000万円)を
 活動の拠点にした。報道もされたがそこでは、広告代理店・電通、ADK制作の展示や映像によって、東京がアピールされた。

 また、8月17日、同ホテルの大宴会場で、中国の日本大使館、JOC、日本選手団の主催によるパーティーも招致活動の絶好の機会となった。

 そうした北京での巨額を投じた招致活動が果たしてどこまで効果的だったのか、大いに疑問だ。
 というのも、本来なら招致活動の先頭に立つべき招致委員会会長の石原慎太郎・東京都知事は、開会式とパーティーに出席(共に一泊)
 しただけだった。「三国人」発言に象徴されるような反中国の思想信条が石原氏の北京滞在を拒否させたのかもしれない。

 北京オリンピック終了とともに、招致活動は、来年10月2日の投票に向けて次の「第2ステージ」へと進むことになる。
 それに向けて、JOCは東京への1票確保を狙って、IOCアスリート委員会委員の改選【※注1】に
 陸上男子ハンマー投げの室伏広治選手を立候補させていた。しかし結果は、落選。思惑はずれに終わった。

つづく