【大分教員汚職】「コネ優先の試験に絶望した」 教頭が不正に走った心情を吐露

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1 尼桑(福島県)
「コネ優先の試験に絶望し、不正の誘いに乗ってしまった」。大分県教委の教頭昇任試験を巡り、
15日、贈賄の疑いで書類送検された同県佐伯市立小野市小学校の渡辺洋一教頭(50)は、
朝日新聞の取材に悔悟の念を吐露した。「子どもたちを裏切り、傷つけてしまった」と唇をかむ。

「子どもが生き生きと過ごせる学校をつくりたい」。そんな志を抱き、03年から教頭試験を受け始めたが、
4年連続で不合格だった。合格者との答え合わせでは自分の方が高得点だったこともあったという。
「県教委幹部と親しい人が優先的に合格するのではないか」と疑念が募った。4年目は2次試験にも進めなかった。
「コネのない人間がまともにやってもダメだ」

追い詰められた気持ちで08年度試験に臨んだ。昨年11月の1次終了後、当時佐伯市立小・中学校長だった
矢野哲郎容疑者(52)から「勉強会をしよう」と誘われた。かつての勤務校の教頭だった。

12月、佐伯市内の矢野容疑者宅を訪ねた。歴代県教委幹部と矢野容疑者の写真が並ぶ部屋に通された。
そこで出たのが、江藤勝由容疑者(52)の名だった。「江藤さんに口を利いてやる」。昇任試験の実務担当者だ。
「お願いします」。思わず答えていた。

矢野容疑者は5本指を開き「それなりの金がいる」と言ったという。
「驚いたが、相場も何も知らない。50万円分の商品券を買った」

今年4月1日付で教頭になると「おめでとう」と言ってくれる人が多かったが「全然うれしくなかった」。
教員採用を巡る汚職事件が明るみに出た6月、事件を説明する全校集会の司会を任された時は「たまらなく憂うつだった」。
教員向けの研修もした。「偉そうに説明しながら、自分が不正を隠していることが耐えられなかった」と振り返る。

「ばれるのでは」「このままならばれないだろう」。二つの思いの間で心が揺れ動いた。眠れない日が続いた。
「黙ったままでいていいのか」。江藤容疑者に一緒に商品券を渡した3人で互いに連絡を取り合った。
「すべてを打ち明けよう」。そう話し合って7月8日、佐伯署に出向いた。「先生は誘惑に負けた悪い人間です」。
児童らへの書き置きを職員室の机に残してきた。

続き
http://www.asahi.com/edu/news/SEB200808150009.html