【Technobahn 2008/7/23 19:22】欧州連合(EU)が著作隣接権の保護期間を現行の50年から45年延長し、
90年とすることに関してケンブリッジ大学を始めとする主要大学の学術専門家から構成される「European
centres for intellectual property research」が連名で英タイムズ紙に21日、反対意見を掲載した。
今回、EUで持ち上がった議論は死後70年間と定められている著作権保護期間に関してはそのままで、
発表後50年間と定められている著作隣接権の有効期間を90年間に延長しようというものとなる。
楽曲の作曲家の場合は、死後70年間に渡って著作権は保護の対象となるが、その楽曲のオリジナル
レコーディングの演奏者の権利(=著作隣接権)の保護期間は発表後、50年間と定められているため、
60年代に発表された未だに人気を保ち続けている楽曲の演奏に関してはあと数年で著作隣接権で消滅し、
オリジナルの演奏のパフォーマー達が著作権使用料を受け取ることができなくなってしまうことが、今回、
改めて、著作隣接権の延長問題が急浮上してきた背景。
この問題、EUの委員会で2月14日に初めて提起。年内にも表決が実施される見通しとなっている。
意見広告の中でケンブリッジ大学のライオネル・ベントリー(Lionel Bently)教授らを始めとする著作権法の
専門家は、過去に発表された3つの学術論文を根拠に今回の著作隣接権の保護期間延長はレコード会社や
往年のロックスターなどの既得権益者の利権構造の維持にあり、「革新と想像力(innovation and creativity)」
には一切、結びつかないと反対意見を表明した。
著作隣接権の保護期間の延長問題の提起にあたってEUの委員会は、これは無名の演奏家の利益につながる
ものだと主張していた。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200807231922