06年10月から昨年9月までの1年で、介護職員の5人に1人が退職し、そのうち7割以上が勤務期間が3年未満だったことが、財団法人「介護労働安定センター」の調査で分かった。
職員の6割が「働きがい」を期待して就職している一方、「仕事の割に賃金が低い」と悩んでいる職員は半数に上った。
職員が仕事に意欲を持ちながら待遇面への不満・不安から早期離職するケースが多い実態が浮き彫りになった。
調査は、無作為抽出した全国の介護事業所約1万7000カ所・職員約5万1000人を対象に実施し、約3割が回答した。
1年間の離職率は22%。離職者の勤続年数は「1年未満」が39%、「1年以上3年未満」が36%だった。就職理由と仕事上の悩みについて、複数回答で尋ねたところ、
「働きがい」は56%、「人の役に立ちたい」は35%で、「仕事の割に賃金が低い」は49%、「介護労働に対する社会の評価が低い」は38%だった。
03、06年に介護報酬が減額改定されたことで、事業所の19%が人件費を削減。事業所の65%は「現在の介護報酬では十分な賃金を払えない」と回答。
さらに、52%は「人材育成の時間がない」とし、雇用者側も離職を食い止める策を打ち出せない状況が浮かんだ。
◇厚労省研究会が中間報告書案まとめる
介護現場の人材確保策を検討する厚生労働省の研究会は18日、介護保険制度見直し時期に当たる来年度の介護報酬改定を議論する際、介護職員の賃金など、労働条件改善に配慮するよう求める中間報告書案をまとめた。
報告書案は他に、雇用管理体制の強化が必要と提言。早期離職を防ぎ、職員の経験と専門性を高めるため、労働に見合った賃金や人事評価の必要性を強調。
介護職に対する「きつい」「低賃金」というマイナスイメージの解消や職員の8割を占める女性のため、育児休業の取得促進−−なども盛り込まれた。
http://mainichi.jp/select/science/news/20080719k0000m040101000c.html