◇共感呼び支援広がる−−路上生活者の炊き出し食材を提供する「山谷農場」主宰・藤田寛さん(38)
毎週日曜夕方、東京の新宿中央公園や上野駅地下通路、隅田公園で、野宿生活者に炊き出しが行われ、
火曜夜には、山谷地区でおにぎりが配られている。炊き出しに使われるお米は、農家や一般家庭が善意で
寄せる余剰米。これらのお米、野菜などの提供を呼びかけ、支援団体に届けるのが山谷農場(小海町)だ。
在日米陸軍司令部のある座間基地(神奈川県座間、相模原両市)で電話交換に従事する事務官。92年
に東京山谷修道院が週1回の炊き出しに参加した時、インドの修道士が「肌の色が気に入らない」と殴ら
れながらも、食事を勧める姿に感銘。自腹でパンと牛乳を買って配る活動も2年間続けた。
当時の奉仕団体の炊き出しは「かわいそうな人たちに恵んでやる」という傾向があり、労働者らを卑屈
にさせ、プライドを傷つけた。そこで労働者自身がカンパを集め、米を購入しての炊き出しも行われたが、
配食数の増加でパンク状態に陥っていた。
そんな窮状を打破するため「信州から野宿者の食を支える」と、99年から佐久市内で農地を借り、食
材の自給を始めた。活動を知った農家などから余剰米や農作物を提供されたのをきっかけに、県内で本格
的にお米の提供を呼び掛ける。「信州は野宿生活者とは遠いが、帰る場所があっただけ」と共感を呼び、
各地に野菜作りなどの支援の輪も広がっている。
お米は年間約10トン以上集まり、毎週金、土曜の休日に長野入りし、食材を運搬する。「物価高の不
況で配食数が増加している。若いフリーターも40歳を過ぎ、雇い止めに遭えば、すべて『自己責任』に
され、路頭に迷い精神を病んでしまう」と懸念する。今年からおにぎりの配布を始め、余った「梅干し」
の寄付も募っている。藤田さん090・1436・6334。【藤澤正和】
http://mainichi.jp/area/nagano/hito/news/20080716ddlk20070087000c.html 依頼所131