<日経>◇東芝が太陽光発電に参入 国内シェア、10年に1割
東芝は7月中に太陽光発電システム事業に参入する。専業大手の米サンパワー(カリフォルニア州)から太陽電池を調達、
住宅向けの装置に組み立てて販売する。東芝がエアコンなどで蓄積してきた回路技術を盛り込み、発電効率を世界最高水準
に引き上げた。国内の太陽光発電装置はシャープ、三洋電機など4社が市場のほとんどを握っている。東芝は小型・軽量でも
大きな電力を出せる利点を訴え、2010年に10%の国内シェア獲得を目指す。
サンパワーは世界8位の太陽電池メーカーでシェアは4%。東芝はサンパワーが得意とする単結晶型の調達契約を結んだ。
太陽光を電気エネルギーに変換する性能を示す発電効率は最高でも20%前後だったが、サンパワーの太陽電池は
世界最高水準の21.5%を達成しているという。
東芝は発電した直流電流を交流電流に変えるパワーコンディショナーと呼ばれる装置を独自開発、太陽電池と組み合わせて販売する。
同装置に内蔵するインバーターにエアコン開発などで培った技術を採用。従来のインバーターに比べ電力ロスを33%減らした。
発電効率が高まる結果、装置の設置面積を同じ出力の既存製品より30%ほど小さくでき、25%の軽量化も可能にした。
重電機器などを生産する府中事業所(東京都府中市)で組み立てる。
家庭向けとして一般的な出力3キロワット程度のシステムの場合、工事費などを除く製品価格は約300万円。競合他社の製品と
同程度に設定した。今月18日にまず首都圏で発売する。工務店や電気工事店などのルートを開拓、販売地域を順次全国に広げる計画だ。
福田康夫首相は6月に示した地球温暖化の総合対策で、太陽光発電導入量を20年までに現在の10倍、40年には40倍に増やす目標を掲げた。
経済産業省は今後3―5年で太陽光発電システムの価格を半減させることを目指し、家庭向けの補助金制度や優遇税制で導入を後押しする方針だ。
住宅向け太陽電池の国内出荷量は現在、年間約200メガワットで普及率は1%に満たない。原油高による電気料金の高止まりなどが続けば、市場拡大の
余地が大きく後発でも成長が可能と判断した。
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日経新聞朝刊より