準備は大切だ。米Appleはそれができていなかった。
米Microsoftがデータセンターインフラの構築にこれだけの時間とコストを投じているのには理由がある。
Webサービスには規模が必要だからだ。
今回、MobileMeのリリースに伴うトラブルでiPhone 2.0ソフトウェアの配布が遅れたことや、
iPhoneのアクティベーションに時間がかかったことは、Appleのインフラがそれだけの負荷を
処理し切れなかったことを示している。
11日の正午ごろ、わたしはApple Storeの入り口から中の様子をのぞいてみたが、店内では最初の購入者の
うちの1人がまだアクティベーションの完了を待っていた。Apple Storeの従業員らは予定よりもアクティベーションに
時間がかかっていると説明していた。アクティベーションできないからという理由でiPhoneを持たずに店を
立ち去る人もかなりいて、中には、列に並んで順番待ちをしている人たちに向かって大声で不満をぶちまける人もいた。
MobileMeのリリースに関しては、「D-」の落第点を付けざるを得ない。ただし同サービス自体に対する評価は、
若干のためらいはあるものの、取りあえず今日のところは「A」だ。Appleは.Mac(media access control)から
MobileMeへの移行を太平洋夏時間の9日午後6時に開始する予定だったが、結局この移行は2時間延期された。
そして移行は6時間で終わるはずだった。だがAppleは10日の朝までに、ステータス報告の内容をさらりと変更し、
緩やかな移行が太平洋夏時間の9日午後8時に始まった旨を伝えている。
「緩やかな移行」というのは実に正しい表現だ。MobileMeでは、10日のほとんどの間中、利用できる状態と
一部だけ利用できる状態、まったく利用できない状態とが幾度も繰り返され、11日になっても幾分不安定な
状態が続いた。MicrosoftはWebサービスの大半を無償で提供しているが、MobileMeは年間使用料が99ドルだ。
やれやれ、料金を支払っている顧客には、もっと良いサービスを提供して然るべきではないだろうか。
これはMicrosoftの社員にとっても人ごとではない。何しろ、Webサービスは難しい。
http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0807/15/news087.html