米国のサブプライム住宅ローン問題に伴う金融市場の混乱を巡り、証券格付けの信頼性が問われた格付け
会社について、金融庁は15日、新たに登録制度を導入し、監督対象とする方針を決めた。
渡辺金融相が同日の会見で「公的規制の枠組みについて検討を指示した」と表明。欧米でも規制の動きが
強まっていることを踏まえ、「国際的に整合性のある枠組みをつくることが大事だ」と指摘。今秋から金融審議会で
議論を開始し、来年の金融商品取引法の改正につなげたい考えだ。
これまで金融庁には、格付け会社の社内管理体制などを直接チェックする仕組みがなかった。立ち入り検査も
できる監督対象になれば、格付け手数料を得るために甘い格付けをしていないかなどのチェックができる。検査
結果を踏まえて、業務改善命令や業務停止命令などの行政処分も機動的に出せるようになる。
ただ、個別の格付けにまで金融庁が直接関与すると、「官製格付け」になりかねない。このため、検査や監督の
範囲は組織としての内部管理体制だけにとどめる見通し。
サブプライム問題では、焦げ付きリスクが高い低所得者の住宅ローン債権を証券化した投資商品の格付けが
急に引き下げられ、高格付けの関連投資商品まで暴落。格付けの信頼性が揺らぎ、市場混乱に拍車をかけたと
されている。
格付け会社の規制をめぐって米国は証券取引委員会への登録制度を導入。欧州連合(EU)も今月、導入で
合意した。日本では昨年末、渡辺金融相の私的懇談会「金融市場戦略チーム」が報告書の中で格付け会社規制の
必要性に言及していた。(日浦統)
http://www.asahi.com/business/update/0715/TKY200807150347.html